麦からはビール、米からは日本酒、ブドウからはワイン、大麦やトウモロコシからはウイスキーがつくられる……。こう考えると、結構いろんな物がお酒の原料になりますね。
ってことは、私たちが知らないだけでもっといろんなものを原料としたお酒があるのでは?!

……ということで、人と社会にとってよい酒のあり方を考え、普及することを目指して設立された「酒文化研究所」の山田さんにお話を伺いました。山田さん、どんなものでもお酒ってつくれるんですか?
「そもそもお酒の原料になるには、その原料に糖が含まれているか、または糖に転化させることのできるでんぷんが含まれていることが条件となります。そうなると酒の原料としては糖の多い果物や、でんぷんの多い米や穀物が適当だということになるわけです。糖やでんぷんが含まれているものならば、お酒がつくれると考えて間違いはないでしょう」

そういえば文頭で紹介した原料以外にも、リンゴやイチゴのお酒も見たことがありますね。でも糖があればできるということは、野菜なんかでもお酒はできるのでしょうか……。
「糖が含まれている野菜であれば、お酒をつくることは可能です。ただしブドウなどと比較すると、野菜に含まれる糖の量はごく微量でしょう。そうなると『膨大な量の野菜から、ほんの少しのお酒』しか醸造できないため非効率。つくることはできますが、普通はつくりませんね」

“キャベツ酒”や“モヤシ酒”なんかがあると面白いと思ったんだけど、口にするのは少し難しそうですね……。僕たちが飲んでいるお酒以外に、何かマイナーなお酒はないのかなぁ。日本では飲まれていないけれど海外では愛飲されている、変わった原料を使ったお酒は何かありますか?
「モンゴルでは馬の乳を原料とした『馬乳酒』というものがあります。また、アフリカやアジア・オセアニアではヤシの実を原料としたお酒が飲まれていますね。
ただしこれらのお酒は商品として広く販売されているというよりは、家庭や地域で個人的に造って飲むと言うレベルのもののようです」

なるほど。それでは、それ以外の原料以外からつくられる『変わり酒』は日本で口にすることはできないんでしょうか。
「主原料となると上記に挙げたものでしょうが、他のお酒に入れて作る『副原料』としてなら様々なもので酒をつくることができます。焼酎にハーブや果実などの植物素材、動物の肉などを漬け込んでつくるものですね。マムシ酒や梅酒なんかがこの部類に入ります」

普段僕たちが目にするお酒は、選ばれた原料から造られたお酒なんですね~。美味しいお酒になってくれる原料たちに感謝して、今夜もおいしくいただきましょう!
(rotten/studio woofoo)
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