「炭水化物ダイエット」なんてものが流行っているが、やはり日本人が最も摂取する食べ物は“米”ではないだろうか。なんたって、主食である。
ご飯を嫌いな人なんて聞いたことがない。

そんな馴染み深い“米”を、ニートや障害者たちが一丸となって作り上げ、しかも商品化の段階まで手がけたらしい。そのお米の名前、なんと『ニート米』という。

この試みを主宰したのは、宮城県のNPO法人「フェアトレード東北」。元々、同団体では障害者が助成金をもらわないで就職できるように活動を行っており、その一環として、今回の『ニート米』プロジェクトが開始された。

フェアトレード東北の活動内容の1つにあるのが、“社会的弱者の社会復帰訓練”。
具体的な内容は、ニートや障害者自身がお茶や野菜を作り、商品化までを全て担当。こういった経験をしたことで“働く喜び”を知り、仕事を見つけたニートも多いそうだ。
今回は、彼ら自身から「お米をやってみたい!」という声が上がり、また食料自給率の問題もあったので、お米作りをスタート。

この『ニート米』作りに携わったメンバーは、同団体が今までに支援してきた障害者たち。また、フェアトレード東北の布施代表と親交があったニートたちが、障害者をバックアップ。そのニートたちを、同じように親交があった大学生がバックアップ。
最終的には20人の若者が集まり、一丸となった。

商品化して販売するのだから、もちろん彼ら(障害者、引きこもり)には給与が出る。「この仕事で給料を出せれば、自信を得ることができるのでは」と語る布施代表だが、まさにこれが狙いなのだ。
稲もみからはじめ、田植え、稲刈り、草取りを自分たちの手で行い、パッケージ作成まで彼ら自身が担当。『ニート米』という商品名も、彼ら自身がネーミングした。

ここまでやったら、“やりがい”を感じるに決まっている。
今回をきっかけに、引きこもりの子はアルバイトを開始。ニートは仕事探しを始めたり、またはすでに職に就いた子も多数。働くことに関して、何かしらを見つけたのなら嬉しい限りだ。

「フェアトレード東北」が目指すのは、日本ではまだ馴染みのない“ソーシャル・ファーム”という活動。助成金をもらわないで、障害者も一緒になって働ける社会づくりを目指す。「福祉」という名の差別をなくし、若くて弱い人たちだけでもお金を稼げる状況をつくるために活動し続けている団体だという。

特に、今回手がけたのは“米”である。日本人に身近な食べ物なので、周りから評価もされやすい。評価をされれば、自信もつく。それが唯一にして最大の目標なのだ。ニートや大学生の参加は、布施さんが「手伝ってくれないか?」と呼びかけてボランティアで集まってくれた有志たちだった。

ちなみに『ニート米』1袋には2キロ分の『ひとめぼれ』が入っており、価格は1,000円。
今季の収穫では約650キロが取れたそうで、販売は約300袋の限定品となる。主に石巻市内の飲食店に卸しているのだが、フェアトレード東北(TEL:0225-94-6883)でも通販を受付中。

気になる反響の方だが、11月15日の発売にもかかわらず3日足らずで100袋の売り上げを記録。「問い合わせがスゴイです!」(布施さん)とのことで、彼らの自信につながること必至。

私自身もそうなのだが、世間の大多数が“褒められて伸びるタイプ”だと思う。「あれをやり遂げたんだから、これもできるはずだ」、そんな風に思えるのなら素晴らしい。
パワーの源は、自信とお米である。
(寺西ジャジューカ)