今月17日、東芝が120年間続けてきた一般白熱電球(白熱灯)の製造を中止したことがニュースになった。政府も2012年までに、白熱灯の国内製造・販売を中止させ、電球型蛍光灯やLED電球(発光ダイオード照明)に切り替える方針のようだ。


白熱灯が廃止へ向かっている理由は、効率が悪いから。電力消費が多く、寿命が短いのだ。
白熱電球は、消費電力のうち光となるのは約10%。中のフィラメント(金属の細い線)に電流を流し、白熱させる仕組みのため、ほとんどは熱となる。その結果、白熱電球の表面は触ったら火傷するぐらい高温になり、300℃を超えることも。

では、電球型蛍光灯やLED電球と比べて、効率や寿命はどれぐらい違うのか。

器具によって差は結構大きいが、目安として、どの程度か比較してみる。

まずは効率。一定のエネルギーでどれだけの見た目の明るさにできるかを表す「発光効率」は[lm/W](ルーメン毎ワット、単位電力あたりの全光束)で表す。家庭で使う電球の場合概ね、
・白熱電球:10~20 [lm/W]
・電球型蛍光灯:60~80 [lm/W]
・LED電球:60~85 [lm/W]
程度の製品が多く、効率は「LEDは蛍光灯と同程度以上。白熱電球の3~5倍」といったところだ。

そして、それぞれの寿命は「白熱電球1千時間、電球型蛍光灯1万時間、LED電球4万時間」が目安となる。


価格は、白熱電球が100~300円程度なのに対して、電球型蛍光灯は500~1000円程度、LED電球は3000~7000円程度が多い。

つまり白熱電球は、蛍光灯やLEDに対して、効率は1/4程度、寿命は1/40~1/10程度しかないのである。その代わり価格は圧倒的に安い。しかし、寿命と消費電力を考えると、蛍光灯の方が良いことは明らか。LEDの高価さが目立が、蛍光灯の同等品を比べた場合、寿命を考慮するとLEDの方が安くつく、という状況になってきているようだ。
また、蛍光灯もLEDも、今後主流になっていくことで、どんどん安くなっていくだろう。


もちろん電球型蛍光灯やLED電球も完璧なわけではなく、重量・大きさ、光の広がり方などで、まだまだ課題もあるが、環境意識の高まりにより、時代は白熱電球を諦める選択をした。
ただ、白熱電球には「演色性が良い(自然光に近い)」、高温多湿などの悪環境に強いといった長所がある上、白熱電球の一種のハロゲン電球の代替品が確立していないこともあり、特別なものはまだつくられて全廃とはならない見通し。

とはいっても、一般家庭用の白熱電球はなくなってしまう。
今年の元旦、初詣で行った神社の屋外休憩所に釣り下げられていた白熱電球。外がとても寒かったためか、冷えた手で握るには調度良い温かさだった。そんなことを思い出し、なんだか切なくなった。

(もがみ)