突然ですが、カメラのシャッター、「丸形」が圧倒的に多いと思いませんか。まるで、何か大切な理由やルールがあるかのように……。

この素朴な疑問を今回は考えてみたい。

丸形に偏っている考えられる理由はたとえば、
・丸形のほうが押しやすいから
・昔からの慣例にならって
・ユーザーが丸形を好んでいるから
など……。

論より証拠、丸形以外のシャッターボタンを試してみた。試したのは長方形モデル、厳密に言うと丸形と長方形の中間くらいの形をしたシャッターだ。ふつうに押していて、とくに違和感というほどのものはない。しかし、街に出て咄嗟にシャッターを切ろうと思ったとき、指が滑ってうまく押せないことがあった。

横長の長方形であるため、中心から縦方向への指のかかりが弱い。なので、同方向に対して損じが発生しやすいと思われる。一方、丸形は中心からどの方向も均等なスペースだから、押し損じが少ないのだろう。

この実験結果を踏まえて、カメラメーカーのペンタックスに聞いて確かめてみた。
「シャッターボタンが丸いのは、一番押しやすい形だからです。ボタンの中心を押す分には、四角でも三角でも可能です。
ところが、ボタンの端っこを押すときは、丸以外の形は引っかかりやすいのです」
「したがって、指の力が上手く伝わらずに押し込めないで最悪、シャッターチャンスを逃してしまうことも考えられます。そのため、一瞬の判断で確実に押せる形状として、丸形シャッターを採用しています」

では、丸形以外のシャッターは一切採用していないのか。
「ただ、現実には過去に丸以外の形状を採用したものは他社製カメラでいくつか存在しています。実は、当社でもコンパクトタイプではデザイン重視モデルで採用した事例があります」
「ついでに言うと、メニューボタンのように落ちついて操作できる部分には、デザイン性を考慮した形状(丸い以外)のボタンを採用することが多いです」

他方、メーカーのカシオは、丸形はデザイン的にも優れているという。
「シャッターボタンと同心構造の丸形ズームレバーやレンズ鏡筒とデザイン的にマッチする」との指摘。言われてみれば確かに、カメラの他のパーツも丸形が多い。トータルなデザイン性を重視すれば、おのずとシャッターは丸くなるという理屈だ。

両社の回答を総合すると、丸形シャッターボタンは機能性、デザイン性ともにバランスがいいので、多くのカメラに採用されていると言えそうだ。

あなたも、丸形のシャッターボタンがお好みですか?
(羽石竜示)
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