今年も東京マラソンが終わった。市民ランナーの3位入賞は素晴らしかった。
走るのはもうたくさんと思った人、もっと練習しようと思った人、参加者の感想はこもごもだろう。

ところで、ふだん道路を走る時、ランナーは左側を走るべきなのか、右側を走るべきなのか。昔、学校のマラソンの授業では「道路の左端を走るように」と言われた。路上で見かけるランナーも左側を走っていることが多い。でも、道路交通法上、ランナーは歩行者。だから右側通行のはず。
ネットで検索してみると、同じ疑問を持つ人が結構いた。どっちが正しいのだろう。

まず、ちょっと整理しておく。きちんとした歩道を歩行者が通る場合、法律上、右側通行、左側通行のどちらもOK。だから、ランナーもどっち側を走ってもいい。以前のコネタにあった「皇居の左側通行」は、歩道内で、さらにその左側に寄って走ろうというルールだ。


問題は、車道と歩道の区別がないか、あっても「こんなの歩けないじゃん」というぐらい、歩道が細い場合。法律上は基本的に「右側通行」だが、周囲のランナーに聞いてみると「何となく左側を走っている」という声が多かった。さて、どちらが正しいのか。

あるランニングの専門書には「歩道のない舗装道路は、排水のため端が斜めになっている。同じ側ばかり走ると同じ足に負担がかかるから、コースをよく選んで。車には十分注意して」と、はっきりしない。
ランナーを応援するある会社に問い合わせてみても「お答えしかねます」と冷たい回答。深まる謎。

(財)日本陸上競技連盟に聞いた。
「練習かレースかで異なります。レースの場合は大会規定に従ってください。練習の場合は、道路交通法に従って、ということになります」
ということは、右側通行なのか。

「ご存知のとおり、(歩行者の右側通行は)あまり守られていませんよね。常識的な観点から、危険のないように、臨機応変に走るということでしょうか」
では、左側通行のランナーが多いのは、どうしてだろう。
「トラックの習慣からではないでしょうか」
トラックは反時計周りに走るもの。最短距離を走るために左端に寄って走る。この習慣が道路でも続いているのではないか、ということだった。

個人的には、「危険のないように」左側通行がよいと思う。
ランナーの方はお分かりだろうが、右側通行していると、対向車と同じ側を走ることになるので、カーブの先から車や自転車が目の前に突然現れて、ドキッとすることがある。車のドライバーにしても同じ。自転車やランナーはスピードがあるので、対面する場合、道路の反対側にいてもらう方が心の負担が小さい。

トラックでの習慣と危険を避ける本能から、ランナーは自然と左側走行になっている様子。道路交通法を読み直してみると、歩行者は右側通行が危険な時などやむを得ない場合は、左側通行もできると書かれていた。
(R&S)