ところで、この時季、弁当持参のお出かけで迷うのは、おかずに何を入れていったら良いのかということだ。
食中毒に関する注意で調べてみると、「生野菜・果物はNG(レタスを敷くなどもダメ)」「ハムやちくわなども、加熱しないとダメ」「ちくわの穴にチーズやキュウリを詰めるのは、食品の温度差などで傷みやすい」「卵焼きはNG」「ハンバーグやから揚げなど、火の通り方がわからないものは避けたほうが良い」などなど、実にさまざま。
これらの注意を全部守ると、梅干しのおにぎりや、塩にぎりくらいしか持って行けない気がするけど……。
確かに夏は食中毒が心配だけど、お弁当はどんな点に気をつければ良いの?
管理栄養士・栄養士が食に関する情報を発信するウェブサイト「ミールプラザ」で活動中の管理栄養士・泊真希子さんに聞いた。
「お弁当で気をつけたいのは、菌が繁殖しないようにすることです。傷みにくくするために、味付けを濃いめにすることは基本ですし、生のものは入れず、よく加熱したものを入れること。そして、加熱したものは冷めてから入れる、冷めてからお弁当のフタをすること。他にも気をつけたいのは、水分ですね」
たとえば、「野菜は茹でたらきちんと冷ます+水分を拭き取ってから入れる」ことが大切。また、煮物・炒め物なども、片栗粉などで汁を吸わせるなどして、「汁気をなくす」ことが大切なのだそうだ。
「この時季、特にNGなのはマヨネーズです。ポテトサラダの場合、芋は足が早い食品であるうえに、マヨネーズを使うので、いちばんダメです。タルタルソースも危険です。また、芋を使うコロッケなども避けましょう」
その他に、真夏のお弁当でよく用いられるのは、以下の方法だ。
○こんにゃくゼリーなどを凍らせて入れたり、キウイ、ブドウ、みかんなどの冷凍フルーツを入れ、保冷剤がわりにする
○冷凍枝豆、あらかじめ茹でて冷凍したトウモロコシなど、冷凍野菜を解凍せずにそのまま入れると、こちらも保冷剤がわりになる
卵は、「半熟」はもちろんダメだが、「ゆで卵も卵焼きもNG」とする人もいる。
「卵は足が早いので、避けられがちですが、それでもやっぱり欲しい人も多いですよね? 入れる場合は、よく加熱すること。心配な人は、薄く焼いて、梅をペースト状にして卵に巻いたりするのも良いですね」
いろいろ気にしてしまうと、アレもダメ、これもダメで、真夏のお弁当に入れて良いものがなくなってしまう気もする。
それについて、泊さんは言う。
「お弁当を美味しく楽しむには、夏のお弁当は、“手作り”にこだわりすぎないというのも一つの方法ですよ。たとえば、手作りの場合は、水分や温度管理など、気をつけるべきポイントがたくさんありますが、今は自然解凍で食べられる冷凍食品などに、美味しく、安全で、栄養バランスの良いものがたくさん出ていますよね。また、保冷剤を入れたり、抗菌のバランを使ったり、容器やシートなど、現代の技術力に頼るのも良いと思います」
神経質に考えすぎず、かつ安全に、夏のお弁当も楽しみたいものです。
(田幸和歌子)