ブルーバック、メガテリウム、ヒースヘン、クアッガ……。
皆さんは、これらの名前を聞いたことありますか? 実は、絶滅した動物たちの名前なんです。


ブルーバックは鹿によく似た、美しい毛皮をもつ牛。メガテリウムは全長6メートルもあるナマケモノの仲間。ライチョウの仲間のヒースヘン。クアッガは頭から胴の前半だけシマがあるシマウマ。一体どんな姿をしてたんでしょう?

そんな絶滅した動植物が一同に集結した、図鑑がリトルモアさんから出版されました。そのタイトルは『もうひとつの場所』。アーティストの清川あさみさんが、糸や布、ビーズ等を使って約230もの絶滅種・絶滅危惧種の動物や植物を美しく彩っています。

それは、どのページを開いても思わず、ほうっとため息が出てしまう美しさ。

版元の方にお話を伺うと、もともと清川さんの作品で図鑑を見てみたいという願望があったそう。
「図鑑だとあまりにも漠然としているのでテーマを決めて作っていただくことに。絶滅種・絶滅危惧種に決めたことで単なる図鑑で終わらない楽しさが生まれる予感がしました」

清川さんのアート作品はもちろんですが、それぞれに添えられた文章も、図鑑らしくなくて面白いのです。絶滅した(または数が少なくなった)理由や、その動植物に関係する作家や詩等も紹介されています。
「誰でも絶滅種・絶滅危惧種に対して興味を持ってもらえるような文章にしていただきました。図鑑らしさと、らしくなさ。そのバランスが絶妙だと思います」とのこと。確かに、自分がイメージしていた図鑑とは全く違う、新しい図鑑でした。

また最後の2枚の作品は、3月の大震災直後に清川さんが急遽追加した作品。その名も“火の鳥の夢”と“希望の樹”。

「今回の震災を受けて、どうしても作りたい作品があると加えて下さったのがこの2点です。見て下さった方が、身体の奥の方から力が湧くような作品を加えたかったそうです」他の作品はどこか寂しさが漂うのですが、この2点はどちらも明るくて希望に満ちた優しい作品です。こちらも注目してほしいところ。

「男女問わず大人から子供まで、アート本としても図鑑としても楽しめると思います。“地球で一番美しい図鑑”そんな風にページをめくって下さったら嬉しいです」

ちょっと変わった、でもすごく美しい図鑑。一度お手にとってみてはいかがでしょう?
(上村逸美/boox)
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