以前、“顔を見てオススメ飲料を示してくれる自販機”を取材した事がある。センサでお客さんの属性(年代・性別)を判定。
その上、季節や時間帯、気温に応じたオススメ飲料を表示してくれるという、新時代の自販機であった。
今やJR駅構内にも多数設置されており、体験した事のある方も多いと思う。

そして、今回紹介するのも新時代。半導体商社の「岡谷エレクトロニクス」がインテル社等と共同で開発したのは、“次世代自販売機”である。
今回の自販売機が、以前取材した自販機と異なる点は「画面が透けているので、実際の商品が見える」という特長だろうか。目で確認して商品を購入する事により、安心感が高まるわけだ。

まぁ、何より体験してみるのが一番。3月6日~9日の4日間、東京ビッグサイトにて開催された「リテールテックJAPAN 2012」では、この“次世代自販売機”が日本マイクロソフトのブースに展示されるとの事なので、実際にこの目で見てきました!

ブースに到着するとそこに現れたのは、コンビニの飲料コーナーの如き透過型の箱。これが、あの“次世代自販売機”である。しかも透明部分は液晶ディスプレイとなっており、ここに様々な情報が表示される。
例えば、この自販機が描く世界観は“ジャングル”。液晶画面では象とその背中に乗った猿が頻繁に横切ってくるのだが、その猿が何かプレートのような物を掲げているのがわかる。
よく見ると、そこには新発売の商品の情報が記載されている模様。
また、商品を選ぶ際の動きも面白い。タッチパネルの購入ボタンを押すと、その商品の所に鳥が群がり、鳥たちが商品を受取口まで運んでくれる。おぉ、こりゃスゴい!
「これはあくまでコンテンツで、例えばバスケットボールのグッズを販売する場合は『選手が商品の所まで行き、ドリブルをしながら受取口まで運んでいく』といったアニメーションも可能です」(日本マイクロソフト・担当者)

そう。この“次世代自販機”は、飲料以外の販売機としても活用する事ができるのだ。
「技術的には全く問題がなく、アパレル、コスメ、書籍など、様々な展開が考えられているようです。また、コンビニなど大型冷蔵庫のガラス扉などへの展開も進んでおり、自販機に先んじて製品化される事が予想されます」(岡谷エレクトロニクス・担当者)

そして何度も引き合いに出して申し訳ないが、JR駅構内で展開されている新自販機は「センサでお客さんの顔を見て、オススメ飲料を示してくれる」という機能が驚きだった。今回の自販機も、そのような事をしてくれるのだろうか……?
「はい。自販機の前に立つと、お客さんの属性を判別いたします」(日本マイクロソフト・担当者)
試しに私も立ってみると、ディスプレイに表示されるは「飲料」、「コスメ」、「アメニティ」、「ノベルティ」といった商品カテゴリたち。ここは、敢えて私と縁遠そうな「コスメ」にタッチ! すると、ここで提案されるのはシェイビングクリームなどの男性向けコスメであった。当然、女性が立てば女性向けコスメ商品が紹介されるようだ。

そして、飲料を購入する場合にも驚きはある。
商品を選ぶ際、その時提案されているドリンクの価格やカロリー、原材料名、アレルギー特定原材料もディスプレイに表示してくれるのだ。これは、確かに安心するな……。

「また、この自販機のディスプレイ面の機能により、”副業”として商品販売以外の様々な情報提供サービスを行う事も可能です」(岡谷エレクトロニクス・担当者)
例えば、“自販機周辺の地域情報”や“商品以外の広告”など。災害時には、最新ニュースや避難経路といった必要な情報をディスプレイに表示する事もできる。

そして今回の“次世代自販機”が、通常の自動販売機より進化した点はまだある。
・低消費電力(約70%削減)
・低コスト(大凡半分)
・耐障害性(透過型液晶によりパネルが壊れても商品が購入できる)
うん、これからの日本に必要な要素ばかりではないだろうか。

現在は量産を見据えた開発が行われており、節電基準をクリアするため日本国内では2013年の展開を予定しているとの事。また、海外の企業からの問合せもすでに寄せられているそうだ。

これからの自販機は、商品と共に“安心”も提供してくれるらしい。
(寺西ジャジューカ)
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