「太陽熱発電」という発電技術が注目を集めている。

これは、太陽の光を、地面に並べられたレンズや鏡で中央にあるタワー状の集熱器に集め、その熱により発電するというものである。
アメリカやスペインにおいて数多く建設されており、太陽光発電とともに、自然エネルギー利用の切り札とされている。

ところで、アニメ「機動戦士ガンダム」においては、「ソーラ・システム」という兵器が存在する。

これは、小型の鏡を並べて巨大な凹面鏡を作り、太陽の光を一点に集中させて目標物を溶かすという巨大兵器である。ジオン軍の切り札として何度かアニメで登場し、地球連邦軍などに甚大な被害を与えたこともある。

このソーラ・システム、基本的な技術は太陽熱発電と同じであり、太陽熱発電のニュースを見たとき、「ついにガンダムの技術が現実のものに!」と地味に興奮したのは筆者だけではないはずだ。時代が追いついてきたのか、ガンダムで見られた技術が現実のものとなりつつあるので、今回はこれらの動向を紹介してみたい。


ガンダムにおいては、ソーラ・システムと同じような巨大兵器に、コロニーレーザーというものがある。使わなくなったコロニー(円筒型の居住施設)を改造して、巨大なレーザーの照射装置としたものである。アニメ放映当時、その稼働原理は不明だったが、その後、書籍により「炭酸ガスレーザー」であるという設定が紹介された。

炭酸ガスレーザーは、1950年頃にアインシュタインによってその原理が提案され、機械加工や外科手術でのレーザーメスなど、広く普及している技術である。大きな出力を必要とする炭酸ガスレーザーは、炭酸ガスボンベを接続してボンベからガスを供給する「ガスフロータイプ」というものが多いようである。

原理的には、炭酸ガスの供給さえ間に合えば、出力はいくらでも大きくできるみたいなのだが、今のところ、そんな用途もないために、炭酸ガスレーザーの出力は大きいものでも数キロワット程度であり、これはドライヤー数個分くらいの出力に相当する。
そのため、コロニーレーザーの実現はまだまだ先のようである(というか実現したら困る!?)。

ちなみに、この炭酸ガスレーザーシステムを日本で販売している会社の一つに、「カンタムエレクトロニクス」という会社が存在するが、ガンダムとの関係性は特に無いようだ。

また、ガンダムの動力源が、背中のバックパックに備え付けられた核融合炉であることは周知の(?)事実であるが、この核融合に関する技術も、少しずつではあるが進歩を続けており、最近では、頑張れば自作できるレベルにまでなっているようである。グッチのウェブサイトなどを手がけるマーク・サップス氏なる人物が、町中のガレージの中に、予算350万円程度で作ったというニュースが、イギリスのメディアBBCなどで2年ほど前に紹介されたこともある。部品は通販サイトのeBayで調達したのだとか。

ただし、サップス氏が作ったのは核融合炉の中でも「フューザー」と呼ばれるタイプで発電目的には適しておらず、また、原子力発電よりは少ないにせよ、核融合炉には暴走や放射性廃棄物の問題もあり、実用化されるためにはまだまだ開発が必要のようである。


自民党が「ガンダム開発計画」を提唱したりしなかったりする昨今。本気かどうかはともかく、技術的には着々と実現に近づいているような気がする。
(エクソシスト太郎)