今までに、いくつかの変わり種自販機を紹介している。例えば“バナナ自動販売機”なんてのもあったし、“リンゴ自動販売機”にも驚かされた。
どれも「こんな物を自販機で売っちゃうの!?」という新鮮なショックがありましたよね。

そして、この自販機も衝撃的です。「和雑貨渋谷丸荒渡辺」(東京都渋谷区)は、店舗の横側に“日本土産自販機”を設置しているらしいのだ。
……と言っても、何を売っているのかよくわかりませんでしょうか? 手ぬぐいだったりかんざしだったり、まさに“日本の土産物”が販売されているみたいなのです。

ぶっちゃけ、私は思ってしまう。何も、自販機で売らなくたっていいじゃない。
だって、お店の中で売れば済む話だもの! そんな私の主張に対し、同店の店長・渡辺さんはこう返す。
「ウチでは以前より和雑貨を扱っており、訪れるお客さんの半分が外国人の方なんです。そしてある日、店の横に設置してあるジュース自販機の前で記念撮影をしているお客さんを目撃しました」
日本は治安が良いからなのだろう。私たちはそこら中で自動販売機を目にすることができるが、海外ではそうもいかないらしい。要するに、自販機も日本のカルチャーの一つなのだ。だからこそ“カルチャー的視点”で、もっと突っ込んだ。
それが、今回の“日本土産自販機”設置である。
「この自販機は海外からのお客様を想定しているので、商品の表記も英語にしてあります」(渡辺さん)

聞けば納得、なるほどなコンセプトの“日本土産自販機”だが、欲張りにも現在までに2台が設置されている模様。
「8月に設置した一台目はタバコの自販機を改造したもので、比較的軽めの土産物を扱っています。そして12月に設置した二台目には、多少大きめの土産物を入れました。こちらはジュースの自販機を改造したものです」(渡辺さん)
自販機で発売したい商品の数を考えると、どうしても二台必要だったそう。中でも一番人気は、千代紙で折った鶴をあしらったピアス(1,200円)だという。
他にも日本語や英語、フランス語、中国語など各地の言語の「ありがとう」が書かれた手拭い(840円)、ちりめんで作った金魚のストラップ(630円)、ラッキーチャーム等が人気を集めている。

なるほど、話を聞いてたらちょっと気になってきたな……。そこで私も、どんな雰囲気の自販機なのかこの目で見てきました!
というわけで、お店に到着。店の横側に行くと、端っこに何か違ったオーラをまき散らしている自販機を2台発見。
「店の外には自販機が6台並んでいるのですが、わざと目立つよう“日本土産自販機”だけはカラーリングに工夫がしてあります」(渡辺さん)
確かに。コカ・コーラの自販機(2台)は赤色で、伊藤園の自販機(2台)は白色。
街中で見覚えのあるカラーが並んでいると思いきや、奥の2台だけがショッキングなオレンジ色なのである。これこそ、今回のお目当てだった“日本土産自販機”。狙い通り、目立ってますよ!

そして商品棚を覗くと、そこには鶴とか手ぬぐいとかかんざしとか、和風なものばかりが販売されています。と言っても“純和風”という風情ではない。どこか、ワールドワイドな幅も意識されていて。“クール・ジャパン”という表現が適切だろうか。

「『せっかく来たんだから何か買って、撮って行こうよ』という反応を、外国人観光客の方からよくお聞きします」(渡辺さん)

まさしく「日本発世界」といった様相だが、今回のこの試みのきっかけとして、実は以前取り上げた“バナナ自販機”があったそうだ。
「“バナナ自販機”は渋谷に設置されていますが、『あんな風に渋谷を楽しく感じてもらいたいな』という思いが我々にもありました」(渡辺さん)

さすが、世界中から注目を集める街・渋谷。結果的に、扱っている商品も「自動販売機」という形態も設置されている街さえも、日本の文化を表している。なんと、ジャパンカルチャーの3乗ですよ!
いやはや、欲張りな自販機じゃないですか。
(寺西ジャジューカ)