以前、私はあるコンビニ店舗を取り上げたことがある。2010年に、東京都練馬区は「ファミリーマート豊玉中三丁目店」へ取材に行ったことがあるのです。

なぜ、ピンポイントでここに注目したのか? この店舗、実は極めて“環境に配慮したコンビニ”だったのです。照明をLEDにして電気使用量を削減したり、フロンガスを使用しない冷蔵庫を一部採用したり、駐車場に「電気自動車急速充電器」を設置していたり……。

しかし、何度も言うが同店舗のオープンは2010年。きっとあれから、技術は確実に進歩しているはず。
そんな中、今年の2月14日に新たな店舗が起ち上がりました! 「ファミリーマート船橋金杉店」(千葉県船橋市)は、環境負荷低減と災害対応を兼ね備えた次世代型のコンビニエンスストアだそうなんです。

では、ファミリーマート船橋金杉店の特徴について。

「今回のオープンに際して、3つのポイントがあります」(ファミリーマート・担当者)
まず1点は、「環境負荷の軽減」。これは、ファミリーマート豊玉中三丁目店でも同様のコンセプトであった。そして2点目は、「災害時の営業継続」。これは東日本大震災をきっかけに、特に注目を浴びている事項であろう。不安な時、もしくは災害によって街の活動がストップしている時、そこに灯りが存在したら思わず駆け寄ってしまいそうになる。だって、安心するに決まってるから。
そんな役割を担うのが、この店舗である。
そして2010年には存在しなかった「新技術の活用」も、ファミリーマート船橋金杉店オープンの大きな意義だそうだ。

では、どんな新技術が活用されているのか? その辺り、実際に店舗に行って確認してみたいと思います。
……というわけで、電車に揺られて1時間弱。最寄りの馬込沢駅から徒歩で約30分。「ファミリーマート船橋金杉店」に、到着いたしました!

さて、まず初っ端のファーストインパクトは、その外壁。
なんか、思いっ切りウッディなのです。既存のファミリーマートとは、明らかに趣きが違う。どちらかと言うと、新築のモデルルーム辺りに雰囲気は近い。落ち着きを感じます。
「国産木材チップを外壁に使用しており、CO2を固定化しています」(担当者)
CO2を無駄に放たないこの工夫で、約300kgのCO2が削減されるそうだ。

では、お店の中に入ってみたいと思います。
……と、またしてもの特大インパクト! すごい商品棚だな、これは。だって、完全に紙製なんですもの。不安なので触ってみたが、そのルックスとは裏腹に頑丈だった。しかし、思い切ったことを……。
「耐久性は、既存のスチール棚とほぼ変わりません。ある程度の重さなら十分耐え得る頑丈性も備えております」(担当者)
同社いわく、敢えて表面を加工せず設置しているとのこと。
狙っての、このルックス。こうして、同店のコンセプトをお客さんにも広く知ってもらいたいのだ。ちなみにこの“硬質紙リサイクル陳列棚”の採用により、CO2排出量(製造と物流などを合算)は約70%も削減されているそうです。

まだまだある。気になるのは、店内の明かり。なんかオレンジがかってるというか、暖色系というか……。

「この店舗では『調光調色LED照明システム』を採用しております」(担当者)
例えば、目覚めきっていない朝の時間帯は店内照明が明るい色に調整されているという。刺激を与え、目覚めを促進させるためです。ちなみに私が訪れたのは、夕方の時間帯。あの暖色系の照明は、来店客に癒しを与える効果を狙っているらしい。確かに落ち着きを得ることができたし、店内に長く居たい気分になりました。
そんな調光調色LEDシステムによって、従来のLED照明と比較して電気使用量の約20%オフを成し遂げているようです。

そんなこんなで色々見て回ったので、ちょっと小休止を。イートインスペースでお茶でも飲んでみようかと思います。
おや? ここにも一工夫が施されているじゃないですか! まず、眼前に設置されているタスクライトには「次世代有機EL照明」が使用されている。
またテーブルと椅子に使用されているのは、高知県四万十町産の間伐材。リユース・リサイクルも可能な素材です。というか、デザイン的に秀逸。エコライフを意識させてくれるし、非常に気分が良いのです。

いや、同店舗で採用されている技術は、まだまだこんなもんじゃない。
例えば店内から見ることが出来ない部分として、「太陽光発電+リチウムイオン蓄電池システム」が利用されているらしい。これにより、年間10,000kWhを発電することができる。結果、非常時の営業も可能となるのです。また「遮熱合わせガラス」(ガラスの間に遮熱フィルムを挟み込む)によって、空調にかかる電気使用量を約5%削減させている。「地中熱ヒートポンプ空調」(夏は冷たく冬は暖かい、地中深くの安定した熱を空調に有効利用)によって、電気使用量を約30%も削減させている。
“ファミリーマート初”、“コンビニ業界初”の技術が、これでもかと盛り込まれたのが、この店舗でした。

「同店舗には、環境に配慮した今までにない非常に多くの技術を盛り込みました。今回のオープンは、効果を検証する“実験”の意味合いも込められております」(担当者)
費用対策効果などを検証し、効果が明らかになったならば、言うまでもなくその技術は他店舗にも導入されることだろう。これぞ、ブラッシュアップ。

見どころは多いし、その全てに意味が込められている「ファミリーマート船橋金杉店」。“意義”と“インパクト”でいっぱいのファミリーマートは、すこぶる居心地も良かったです。
(寺西ジャジューカ)

関連リンク/取材協力
「ファミリーマート」ホームページ