まぁ、画像をご覧くださいよ。別に、スクラップ屋ではない。「ナラハラオートテクニカル」が3月1日より発売している『リアルプリントキバンiPhoneケース』が、あまりにもあまりにもなんです。
しかし、なんでしょうかこれは。どうして、こんな感じで。だって、素材として採用されているのは「基板」ですよ? 精密機械には欠かせない、例のアレです。こんなの、内側にあるべきものでしょう! 表から丸見えなのは、生き方が違う気がする。もちろん、それは同社も承知の上だ。
「筐体に守られるはずのプリント基板が、筐体を守るケースになった!」
このような大胆な試みを決行してしまったきっかけを、同社に伺ってみました。
「当社では以前より、カーボン素材を採用したiPhoneケースを発売しております。そして、次なるiPhoneケースの素材をずっと探していました」(同社・内野代表)。しかし、見つからない。果たして、どんな素材にインパクトがあるのだろうか?
そんな悶々とした日々を送る中、ある異業種交流会への参加した内野代表。「そこで基板関連の仕事をしている友人の顔をボーっと見つめていたら、ふとひらめいたんです」(内野代表)。そういや、かねてより「基板」の機能美には着目していたっけ。ムダがないし、あのルックスも捨てたもんじゃない。“ビビビッ!”が、内野代表に降りて来た。
そこからは、衝動が彼を動かしている。まずは矢も盾も止まらず、基板屋さんに直行。
それにしても、運命としか言いようがない。確かに、始まりはひらめきだった。でもそれにしては、全てがガチっとはまり過ぎているのだ。「一般の方々も、基板の存在自体はご存知ですよね? でも、普段目にしているかと言ったらそうでもないと思うんです」(内野代表)。これが、絶妙のラインなのだ。知名度はあるけど、それでいて新鮮。新たなる素材として、打ってつけでしょう!
ただ、気になるのは使い心地である。
「確かに、通常のiPhoneケースよりは重いです。また手触りも、いわゆる基板表面のザラザラがあります」(内野代表)。しかしその点に関しては、同社も最大限に気を使っている。特に問題視されるのは、基板の所々に配置された“穴”だった。
「基板をiPhoneケースのサイズにカットする際、端に穴があると角が鋭利になってしまいます。なので不要品の基板ではなく、ケース用に一から基板を製作しています」(内野代表)。確かに色々なパターンの基板を使用すると、危険な形状で完成してしまう可能性だってある。使用中に指を切ってしまったり、収めているポケット内部が破けてしまったり、持ち主もビクビクのiPhoneケース。機能性どころの話じゃないですね。また、基板にはユーザーの情報も記録されている。要するに、再利用は厳禁の素材なのです。
そして、もう一つ。
「最近の基板は6~7層になっているんですね。そのまま使用すると電波を防いでしまったり、電池の減りが早くなってしまったり、問題が生じます」(内野代表)
それら諸々の理由をクリアした、手間暇の結晶である『リアルプリントキバンiPhoneケース』は、同社オンラインショップ等での購入が可能だという。価格は、9,450円(税込み)から。「やはり男性からの反響が多く、主に『カッコいい!』といったお声が寄せられています」(内野代表)。確かに、カッコいい!! もう、圧倒的に男の子の琴線を刺激する容姿をしていると思う。
なるほど。そう考えると、前面に押し出された基板も悪くないな。基板は、“顔出しOK”でした。
(寺西ジャジューカ)