
中国では今、お正月となる春節を迎えている。春節は旧暦の正月期間にあたり、毎年日時が変動する。
旧正月は中国本土だけでなく台湾、香港、マカオ、シンガポールなど中華圏で祝われる。さらに中国文化の影響を受けてきた韓国、モンゴル、ベトナムなどのほか、世界各地のチャイナタウンや沖縄の一部などでも旧正月を祝う文化がある。
中国の春節は日本の比ではない規模で祝われる。ヤバすぎる中国の旧正月事情を紹介しよう。
花粉予報ならぬ爆竹予報
中国の旧正月は爆竹を鳴らすことで盛大に祝われる。大きさも日本の夏の花火で使うような小ぶりなものではなく、こぶし大のものから数十メートルもある巨大な爆竹も存在する。大きな音を鳴らすことで邪気を追い払うといういわれがあるようだ。あちこちで爆竹が鳴らされるため騒音や、煙の飛散による大気汚染が問題となり、上海など一部の都市部では爆竹禁止令が出されるほどだ。さらに、気象台からは毎年爆竹予報が報じられている。いっそのこと全面的に禁止にしてしまえばとも思うが、伝統文化とのせめぎあいもあるので難しいようだ。最近では煙の少ない“エコ爆竹”も登場している。
大渋滞と大混雑
中国では日本同様に、お正月は田舎へ帰り家族と過ごすという人も多い。当然帰省ラッシュも存在する。何億人という人々が一斉に移動するため、渋滞も日本の比ではない。長距離にわたってまったく動かない渋滞が出現する。さらに鉄道のラッシュも起こる。現在はコンピューター管理によるチケット予約システムが登場しているものの、かつては駅の窓口まで行かなければ切符が買えなかった。そのため、駅で何日も足止めを食らったり、人が集まりすぎて、将棋倒しとなり圧死者が出る事故がたびたび起きていた。田舎へ帰るのも命がけなのである。
レンタル彼氏or彼女
都会で暮らす独身の中国人が田舎へ戻ると、親に「早く結婚しろ」と言われることが多い。これは日本も同様かもしれない。だが、中国における結婚の督促は日本の比ではない。何より、本人たちの幸せよりも、結婚して一族の子孫を残すということが求められるためだ。
そのほかにも、帰省の際は親族一同へ配るおみやげ代もバカにならない。日本を訪れる中国人が同じ商品を大量に“爆買い”している背景にはそうした事情もあるのだ。世界でもっとも多い14億人近い人口を抱える国家だけあり、何から何までスケールの大きな話である。
(下地直輝)