
47都道府県のご当地ポン酢を食べ比べる連続企画。沖縄からスタートしていよいよ北海道・東北編である。
日本縦断ポン酢と旅がついに終わりを迎える!
と、まあ大げさに書くほどのことではないのだが、ポン酢一つとってみても地域ごとに差があり、大変勉強になる。ずっと好きだったポン酢のことを自分は実は全然知らなかったんだなと思い知らされた。
<これまでのポン酢食べ比べ>
・全国のポン酢食べ比べ! これまでの最高得点を叩き出す次世代ポン酢出現【関東編】
・全国のポン酢食べ比べ! 僅差で1位が決まるハイレベルなポン酢バトル【中部編】
・全国のポン酢食べ比べ!関西出身メンバー満場一致の1本が出た【近畿編】
・全国のポン酢食べ比べ!個性派だらけの大混戦【中国・四国編】
・全国のポン酢食べ比べ! 鍋に合う最強の1本はどれだ【九州・沖縄編】
柑橘類の育ちにくい北国にもあった個性的ポン酢
前回の関東編でも書いた通り、柑橘類の育ちにくい東北や北海道に果たして美味しいポン酢が存在するのかと少し不安にも感じていたのだが、これがもうなかなかどうして、個性的なポン酢が続出。今回も高得点で1位に輝く素晴らしい一品に出会うことができた。
いつものことだが、念のためまず企画の主旨を説明させていただきたい。日本全国のご当地ポン酢を各都道府県で一本ずつ買い集め、ごくごく普通の水炊き鍋につけ合わせて食べ比べる。酸味や甘みや後味、香りなどの細かい項目について確認しながら総合点をつけ、それをもとに順位を決定する。食べ比べのメンバーは、私が普段から公私に渡ってお世話になっている大阪中津のミニコミショップ「シカク」のスタッフとその仲間たちだ。
こんなメンツでやっています。
シカク店長・巴さん

大阪中津にあるミニコミ・自費出版本の専門書店「シカク」の店長。空腹に耐えきれず、食べ比べの直前にランチパック2個を一気に平らげた。
副店長・たけしげさん

「シカク」の副店長で巴さんの妻。食べ比べの後のシメのうどんを楽しみにしている。
ヤマコさん

「シカク」の常連客。旨いものには人一倍敏感な男。まるで専門家のような真剣な眼差しでポン酢を見つめる姿が様になってきた。
はやとさん

同じく「シカク」の常連客。「ポン酢の食べ比べ」をし始めて以来、喉が渇いて仕方ないという。
私・スズキ

居酒屋でポン酢を使ったつまみを食べると「これどこのポン酢だろう!?」と気になって仕方ない。
今回用意した鍋はこんな感じ。

昆布でダシを取り、白菜、豆腐、しめじ、もやし、鶏肉、豚肉を入れた。低価格かつ飽きのこない必要最低限鍋。
アンテナショップにもあまり売っていない
北海道・東北編にエントリーしたのは以下のポン酢。

北海道「ふらの農業協同組合 富良野野菜ぽん酢」、青森県「カネショウ おろしりんごと柚子のぽん酢しょうゆ」、岩手県「八木澤商店 君がいないと困る」、宮城県「カネダイ ゆずヶ島ぽん酢」、秋田県「安藤醸造 ゆずぽん酢」、山形県「テンスイ醤油 りんご酢のぽん酢」、福島県「会津高砂屋 山椒ぽん酢」の7本である。
東京・有楽町近辺のアンテナショップをめぐってみても、北海道や東北のポン酢を売っているところはあまりなく、通販で取り寄せたものが多数。よく遠くまできてくれたね。
総合点を5点満点で評価し、さらに酸味・甘み・香り・後味・面白味・コスパについても細かく評価する。それらをもとにした上位ベスト3を紹介したい。何度断っても断り過ぎることはないと思うが、参加メンバーは食のプロではまったくないので、採点結果や味の評価はあくまで独断! 何卒ご了承ください。
関西出身のメンバーが多いこの食べ比べ会。みんな、北のポン酢を味わえることに興奮を隠せない様子。

前回の関東編で、これまでの食べ比べ史上最高得点を獲得するポン酢が現れたのだが、今回も同得点のポン酢が! 2位3位も全員を唸らせるハイレベルな結果となった。
東日本大震災後に商品名が付けられたポン酢がダントツ1位!
第1位
岩手県「八木澤商店 君がいないと困る」(170ml入り、550円程度)

総合点4.8点
みんなのコメント:
たけしげ「パワフルなゆず感!それでいて食材の味を邪魔しないまろやかさがある」
ヤマコ「酸味は鋭くキレがあり香りは優しくフルーティ。ほのかな苦味もきちんと感じられ手放しで好きと言える風味。」
はやと「ダントツ1位!酸味と香りのバランスが最高」
巴「今まで食べてきた中で一番好きだと思った。このポン酢を使ってプロポーズできると思う」
ゆず果汁を30%という濃度で含むため、香りと酸味は強い。なのだけど、岩手産小麦を使用したという天然醸造の醤油のコクがありつつもまろやかな風味が、そのゆずの香りに負けないしっかりとした旨みを感じさせてくれるため、全体的には非常にバランスの優れた味わいになっている。
八木澤商店は1807年創業の老舗だが、東日本大震災で陸前高田市にあった工場が全壊。その後、岩手県の内陸部に営業拠点を移しつつ、自社製造を再開したという。「君がいないと困る」という商品名は震災後につけられたもの。
その美味しさをぐっと噛みしめたくなる。
2位はこちら。
第2位
青森県「カネショウ おろしりんごと柚子のぽん酢しょうゆ」(200ml入り、370円程度)
総合点4.3点

みんなのコメント:
たけしげ「おろしりんごの上品な甘みが予想以上に水炊きに合う。個性的な味わいなのに食材の美味しさを引き立ててくれる」
ヤマコ「柚子の酸っぱさと、りんごの甘さのカップリングは完成度が高く新鮮。ダシのコクもしっかりしていて満足感が高い」
はやと「鍋以外の用途にも色々なバリエーションがありそう」
津軽産のりんごを使った“おろしりんご”とゆずが織り成す酸味と甘みのバランスが素晴らしい。ご当地感を押し出しながらもそれが奇をてらっただけに終わっていないところが人気を集めた。おろしりんごを含むために少しとろっとしていて、ドレッシングとしてサラダにかけた時の絡み具合も良さそう。
第3位となったのがこちら。
第3位
宮城県「カネダイ ゆずヶ島ぽん酢」(180ml入り、420円程度)

総合点4.1点
みんなのコメント:
たけしげ「ゆずの果皮が入っていることにより、ほのかな苦さがあり、それが甘みや酸味を引き立てているように感じる。刺身やタタキともあわせてみたい」
スズキ「醤油の味わいにどっしりとした厚みを感じる。普段使いしたくなる親しみあふれる味」
ヤマコ「酸味と香りが立ちつつ、ダシ感もしっかり味わえる分厚い旨味。ゆず果皮の苦味も食欲をそそる」
気仙沼産のゆずを使ったポン酢。寒冷地のゆずゆえに形は不揃いだったりするが、香りは抜群なのだとか。
醤油の旨みもしっかりと味わえる。ちなみにメンバーの中で私、スズキとたけしげさんが今回1位に選んだのはこの一本だった。
今回、岩手の「君がいないと困る」については、「このポン酢が無いと困る!」と叫ぶメンバーも現れるほど群を抜いて人気だったのだが、2位以下を決めるのがかなり難しく(つまりどれもそれぞれ美味しくて)、鍋のダシでポン酢を割る「ダシ割り」などを何度も繰り返しながら審査をした。
惜しくも3位以内には入らなかったが、まるでジュレのようなトロトロ加減でメンバーを驚かせた北海道「ふらの農業協同組合 富良野野菜ぽん酢」も高い人気を集めていた。いやー、東北や北海道でもこんなに個性的で美味しいポン酢が作られているとは……。
今日も最後は恒例の「利きポン酢大会」。ランダムで選んだポン酢を味見し、味だけで商品名を当てるという大人の遊びである。

私が親になってお題のポン酢を選ぶ。目隠しをしていた4人が味見をし、これだ!と思うポン酢を指さす。すると、全員が別々のポン酢を指している。こんな時、めちゃくちゃ笑ってしまう。もしご自宅に何種類ものポン酢がある場合はぜひやってみてください!
そんなこんなで、とりあえず47都道府県を制覇した当企画だが、やはりここまで来た以上、日本一美味しいポン酢を決めたい。
そこで、次回、これまで各地域で1位に選ばれてきたポン酢を集め、決勝戦を行いたいと思う!
さらにそこで、ラスボスとしてミツカンの「味ぽん」も一緒に食べ比べてみる予定。ぜひお楽しみに!
ここで告知なのですが、当企画の取材場所としても協力してもらっている大阪中津のミニコミショップ「シカク」で、食べ比べ後に大量に我が家にストックされている各地のポン酢を食べ比べるイベントを実施することになりました。
しかも、「酒のほそ道」の作者として知られる食通マンガ家・ラズウェル細木さんをゲストに迎え、ラズウェル細木さんのオリジナルポン酢もエントリーしての食べ比べ大会になる予定!ポン酢好きの方や、ラズウェル細木さんのマンガのファンの方にはぜひ参加して欲しいです。詳細はこちら!
「全国のポン酢を食べ比べながら呑むぞ! - ラズウェル細木カラー原画展」
<これまでのポン酢食べ比べ>
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