「お客様は神様です」という言葉が、日本のサービス業を象徴する言葉として中国で広く知れ渡っているようである。実際、日本で「自分は神様だぞ」と威張り、サービス業の従事者に横柄な態度を取る消費者はごく一部。
多くの消費者はサービスを享受するうえでそんなことを考えたりしない。このあたり、中国の人びとはどのように認識しているのだろうか。

 中国メディア・捜狐は20日、「お客様は神様」という考え方は奉仕する側と享受する側が対等という前提のもとに成り立っているとする文章を掲載した。記事は、中国では清掃員など一部サービス業の従事者が暴力や差別を受ける現象が相次いでいると紹介。これにより「奉仕者と消費者の関係がますますこわばっており、わが国の多くの人が基本的なモラルに欠けているという問題が浮き彫りになっている」と評した。

 これに対して、日本では清掃員などがほかの市民に暴力を受けるようなことは起きず、「むしろ通りかかる多くの人が、親しみをこめて『こんにちは、お疲れ様です』などといった挨拶をする」と説明。その多くが高齢者で、自らの生計のため、さらには国や社会のためとして働く清掃員に対して、市民がリスペクトを示す様子が伺えることを紹介した。

 また、日本のサービス業では客に対して跪いてサービスするイメージがあり、中国人がそこから「奉仕者はみな『お客様は神様』というサービス精神を持っているのは当たり前のこと、と認識しがちであることを指摘。そのうえで、「どんな国や文化においてもリスペクトは互いにするもの。(奉仕側と客の)互いの地位も当然平等だ。日本の各業界では確かに跪いてサービスが提供されるが、消費者と従事者の関係は平等であり、しかも互いにリスペクトしあっている」と論じている。

 日本でだって消費者とサービス業者を巡るトラブルは日常的に発生している。
その多くは、サービスを提供する側の落ち度や態度の悪さを消費者側が指摘し糾弾するケースだ。しかしそのようなケースは、日々星の数ほど発生しているサービス行為のなかではごくわずかに過ぎない。食堂の会計を済ませて「ごちそうさん」と店を出る客や、バスを降りる時に「お世話様です」と運転手に声をかける市民はたくさんいるのである。それこそ、記事が指摘する「消費者と従事者の関係は平等で、互いにリスペクトしあっている」ことの表れではないだろうか。

 サービスの質の向上が声高に叫ばれている昨今の中国。しかしより大切なのは、互いが互いを尊重し、労わる精神を培うことではないだろうか。提供者側がいくら頑張っても、消費者の意識が変わらなければ結果的に良いサービス環境は作れないのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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