2015年11月に2時間のスペシャルドラマとして放送された『視覚探偵 日暮旅人』が連続ドラマとして帰ってきた。主演の松坂桃李をはじめ、メインキャストはそのまま続投し、スペシャルドラマで張られたさまざま伏線や謎が解き明かされていく。
今回、ストーリーテラーとしてナレーションを務めるのが、保育士・山川陽子役の多部未華子だ。「登場人物やゲストが個性的で、主人公が特殊な設定となっています。その意味では、見ている方は一番陽子目線になれるのでは」とドラマの見方を指南してくれた多部に、作品の見どころや撮影でのエピソードを聞いた。

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 松坂扮する日暮旅人は、ある事件がきっかけで、視覚以外の五感のすべてを失ってしまったものの、唯一の視覚が研ぎ澄まされ、その能力を駆使する探偵。血のつながらない娘の灯衣(てい)を通して陽子と知り合うこととなる。スペシャルドラマでは、過去に旅人と陽子が何らかの関係があったのでは……という伏線が張られていた。


 陽子は物語の重要な鍵を握っているようだが「スペシャルドラマの時にあったキーホルダーの謎はまだ明らかになっていないのです。現時点では5話まで台本ができているのですが、これから最後に向けて色々なことが明らかになるのかなって思っています」と多部自身も今後の展開に興味津々の様子だ。

 スペシャルドラマ以来、久々に以前のメンバーと顔を合わせたという多部。「また同じメンバーでやれるのは嬉しい半面、堤(幸彦)監督の現場はカット数も多く、アイデアもたくさん出てくるので大変です」と本音ものぞかせる。それでも「そんなアイデアに松坂さんも濱田さんも、木野花さんも、木南(晴夏)さんもゲストの方も、『ハイ』って適応していくんです。そういう方たちと現場を作っていけるのは楽しいですね」と目を輝かせた。
 本作で多部は保育士の役を演じているが「保育園のシーンは慣れないですね。現場でも『陽子先生』って呼んでくれたり、子どもはとても可愛いのですが、突拍子のないことを言ったり、忘れてほしいこともずっと覚えていたり」と苦笑い。子どもたちと接することにより母親という存在が身近に感じられたか問うと「園児たちのお母さんが撮影に付き添っているのですが、わたしとあまり年齢が変わらないんだろうなって考えると、すごいなって思います。でもそこで何か感情が沸くということはないですね」と語った。

 共演の松坂、濱田とは同学年の多部。「松坂さんは役に対して真面目だなって感じます。
現場でもいつもニコニコしていて、座長としてもすごく頼もしいです。濱田さんは『お酒のエピソードや失敗談』を色々聞くのですが、この現場では一度も聞いたことがありません。でもあの二人、いつも現場で仲良く話してるんです。毎日現場で一緒にいるのによく男同士そんなに話すことがあるなって」。

 多部もドラマや映画で主演を務めることがあるが「わたしは座長みたいな意識は全くないです。あまり得意ではないので。
なるべく隅の方で、肩ひじ張らずに自然体で……」と控えめに語る。そんな多部に、人に見えないモノが見える旅人の能力があったら、松坂はどんな模様に見えるか聞いてみると「緑かな。観葉植物みたいな……。空気に馴染むこともでき、いつもフワフワ穏やかな感じですかね」と回答。

 一方、自身について同じ質問をしてみると「白黒」と即答。「グレーがないので……。
わたしははっきりしていると思います」。そんな自然体でシンプルな多部は「灯衣ちゃんと陽子先生の関係はあまりよくないのですが、陽子先生ってめげないんです。でも4話では、灯衣ちゃんからある言葉を言われて傷ついてしまうんですが、そのあとの灯衣ちゃんの言葉がすごくいいんです。ぜひ見てほしいですね」と見どころを語ってくれた。(取材・文・写真:磯部正和)

 ドラマ『視覚探偵 日暮旅人』は、日本テレビにて、毎週日曜22時30分から放送中。