7年ぶりに帰ってきたフジテレビの人気ドラマ『コード・ブルー ~ドクターヘリ緊急救命~』は山下智久新垣結衣ら、第1作目より支えてきたメインキャストが続投し、フライトドクターたちの医療現場における姿を臨場感たっぷりに描き、観る者を夢中にさせている。第3作目にて、山下演じる藍沢耕作のライバル役として台頭するのが、シリーズ初登場の安藤政信だ。
実は、同局の連続ドラマのレギュラーは初めてという安藤は、「正直『ドラマなんて』と思っていた時期もありましたね」とポツリと口にしながらも、穏やかな笑みを浮かべた。ときを経て移ろう想いを、単独インタビューで語ってくれた。

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 安藤のフィルモグラフィーと言えば、デビュー作にして数々の映画賞を総ナメにした『キッズ・リターン』に始まり、『バトル・ロワイアル』『69 sixty nine』、『GONIN サーガ』とイメージに捉われない多種多様なラインナップが印象的だ。そして、映画界に基盤を置き、俳優業を全うしてきたようにも見える。安藤は言う。「20~30代のときはこだわりがすごく強くて、何となく『ドラマはよくないんじゃないか?』といった拒絶心のようなものがあったんです」。
その姿勢は、『亡国のイージス』で組んだ阪本順治監督からも「間口が狭いが懐は深い」と評されていたという。

 「この歳になって、1回何でも受け入れてみよう、乗っかってみてもいいのかもしれない、という感覚になったんです。気づくのがちょっと遅かったんですけど(笑)」。最初のきっかけは、2017年の新春ドラマ『君に捧げるエンブレム』への出演だった。「スタッフの人たちがものすごく歓迎してくれて、(櫻井)翔と一緒にやったチームが、すごくよかった」。同じ演出家、プロデューサーで作り上げる『コード・ブルー』の出演依頼が届くと、ほどなく決意は固まった。
「いざやってみると、『何でこれまで拒絶していたんだろう?今まで何をやっていたんだろう?』という気持ちになりました。本当に今さらですけど…、3ヵ月という期間を共有できると、すごく情が入っていくし、映画と違う感じでまた居心地がいいんです」。 日本のみならず海外での撮影を経験してきている安藤は、当然キャリアも長い。今回もスッと現場に入っていけたのかと尋ねると、「いやいや!」と首を横に振った。「僕は基本すごく人見知りですし、そもそも10年間作りあげてきた人たちの中に入っていくのは難しかった。1話の最初のシーンから、苦戦して非常に悩みましたし、全然OKも出なかったんです」と、意外な裏事情を明かしてくれた。
しかし、撮影も中盤をまわった現在では、脳外科のエース・新海広紀の役柄をしっかりとつかみ、患者の奏について大事な鍵を握る物語のキーマンとして引っ張る。

 「『コード・ブルー』は、主人公の5人がヴィヴィットな芝居をしているところに元々惹かれていたんですけど、中でも藍沢というか山下くんは…もう格好よすぎて、ねえ(笑)?僕は、山下くんとのシーンが一番多いので、いろんな話をしていますよ。…あ、でも作品の話はあまりしないかも(笑)」と、オフスクリーンでの和やかな様子を伝える。「今までの作品でも、『相手役を食ってやろう』と思って入ることはなくて。僕は、いつだって相手を愛したり、尊敬したいと思ってやっています」。そうして熱を帯びて伝える様子は、視野を広げた安藤の、より豊かな俳優人生を示しているようだった。
(取材・文・写真:赤山恭子)

 『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』は、フジテレビ系にて毎週月曜21時から放送中。