「スーパーで原産地表示をしっかり確認すれば大丈夫」。そう考えている人もいるかもしれないが、問題は原産地表示の義務がない外食だ。「週刊文春」のキャンペーンをまとめた書籍『中国食品を見破れ』(文藝春秋/「週刊文春」特別取材班・著)によれば、なんとあのスターバックスコーヒー(スタバ)でさえ、中国産食材を用いているというのだ。
スタバで中国産食材を使っているメニューは、人気の「シナモンロール」「アップルシナモンフリッター」「サラダラップ根菜チキン」だ。
フェアトレードのコーヒー豆を取り扱うなど、日本においてスタバは“クリーンな企業”というイメージを持っている客も多いが、2009年には、日本に輸入できない残留農薬の基準をオーバーしたコーヒー豆を、アメリカで焙煎することで輸入している問題を共産党議員に追及されたこともある。“オシャレでクリーン=安全”とは安易な想像でしかない。
しかし、スタバはHPで原産地・安全管理について言及、取材に応じているだけ、まだ良心的といえよう。本書が外食チェーンに行った中国産使用メニューと安全管理体制についてのアンケートに対し、回答さえしない企業もあるからだ。
中国産食材がここまで日本で流通しているのは、日本の食料自給率の低さの問題もあるが、デフレの影響も強い。コストを下げ、競争に勝つため、外食チェーンは安い中国産に頼る。消費者の食への不安が増大する中で、「中国産食材を使っているか、使っていないか」を公表するくらいは、最低限の企業倫理として守ってもらいたい。
本書でも、中国産使用を認めている日本マクドナルドの鶏肉に抗生物質が投与されている事実や、その検査体制への疑問が投げかけられているが、回答さえしていない企業の実態はどんなものなのか──「知らないほうがよかった」と思うような裏側がなければいいのだが。
(文=和田 実)