最近では特に高級乗用車での採用が多いLEDヘッドライト。いま路線バスでの導入が始まり、その安全性を向上させようとしています。

それによって、ある運動がしやすくなるからです。

したくてもできなかった「デイライト運動」

 近年、様々な場面で見かけるLED。街中を走るクルマにもテールライトやポジションランプに多く使われているほか、特に高級車ではヘッドライトにも採用される例が見られます。

 その高級車に多いLEDヘッドライトがいま、路線バスの安全性を向上させようとしています。

 路線バスの交通安全対策では「昼間点灯」が効果的ですが、球切れによるバルブ交換が年2~3回必要になり、経費増加につながることから実施を断念しているバス会社も見受けらます。

 そうしたなか、世界で初めて「LEDヘッドランプ」の量産化に成功した小糸製作所は2015年3月、路線バス用角型4灯式「LEDヘッドランプユニット」(24V車専用)を発売。

状況が変わりつつあります。

 小糸製作所が路線バス用に開発した「LEDヘッドランプユニット」は、従来のハロゲンランプと比べ、明るさは3倍、消費電力が4分の1で寿命は50倍。大幅に経費を削減できるとのこと(小糸製作所調べ)。

 つまり、LEDヘッドライトを導入すると低コストでデイライト運動を行えるため、経費面で難しかったバス会社でもそれを実施しやすくなり、バスの安全性向上に繋がるのです。小糸製作所は「発売から2ヶ月を経過した2015年5月の時点で全国27事業者に採用され、非常にご好評いただいている」といいます。

 また同社の「LEDヘッドランプユニット」は、路線バス専用設計とした配光の最適化により側方の視認性を改善。

「路面、また夜間におけるバス停の状況が確認しやすい」「路側帯にいる歩行者の早期発見が可能」といった利点もあるといい、日中のみならず、夜間の安全性向上にも繋がっているそうです。

長寿命化によるもうひとつのメリット

 また長寿命化によって、メンテナンスに必要な作業工数の削減にも繋がっています。小糸製作所の「LEDヘッドランプユニット」は従来のハロゲンランプと同等のサイズにしたことで、1台10分から15分程度で交換ができるそうです。

 この「LEDヘッドランプユニット」について小糸製作所によると、次のような現場からの評価があるといいます。

・バスを待つ利用者や路側帯を歩いている歩行者がいち早く判るようになった。
・視界が悪くなる雨天でも走行車線が見やすい。


・対向車のドライバーやバスを待つ利用者から見ても眩しくない。
・雪道で路面の凹凸が把握しやすい。

 今後は高級乗用車のみならず、路線バスでもLEDヘッドライトの採用が当たり前になっていくかもしれません。