「乗りものニュース」が「Yahoo!ニュース」と共同で意識調査を行ったところ、自転車は免許制にすべきという意見が6割以上を占めました。そうしたなか法的拘束力はないものの、既に独自の免許制度を設けている自治体などもあり、一定の成果を上げているようです。

交通事故全体の約2割を占める自転車関連

 総務省統計局が2015年3月に発表したデータによると、2014年に起きた自転車関連事故の件数は10万9269件。交通事故全体の約2割を占めており、なかには死亡につながる事故も少なくありません。こうした流れを受け今年2015年6月1日から施行された改正道路交通法では、危険行為を繰り返す悪質な自転車利用者に対し講習が義務付けられることとなりました。

 そうしたなか、さらに一歩踏み込んで「自転車も自動車やオートバイと同様に免許制を導入してはどうか」という考え方もあります。そこで我々「乗りものニュース」は「Yahoo!ニュース」と共同で、2015年6月4日(木)から14日(日)にかけインターネット上で意識調査を実施。合計13万4774票が寄せられ、結果は「免許制にするべき」が8万4936票で63%、「免許制にするべきでない」が4万9838票で37%と、「するべき」と考えている人が多数でした。

 しかし、併せて寄せられたコメントには「むしろ免許制度の前になんらかの方策を練るべきなのでは」という意見も目立っています。顕著なのが「そもそも利用者自身の安全への意識を高めることが必要」という意見。学校なり地域なりで安全運転の講習をやるべきというコメントが数多く寄せられています。

独自に免許制を実施する自治体も

 そうしたなか、東京都荒川区では法的拘束力はないものの、10年以上前の2002年7月から自転車免許の交付を行っています。免許交付の手順は、まず講習を受け、続いて警察官からの交通注意。そして10分間のビデオを見てからテストを受け、実技、という流れ。

荒川区交通対策課の平野さんによれば、受講しているのは小学生がほとんどとのことですが、家庭に結果を持ち帰ることで、家族そろっての自転車ルール再確認に役立っているそうです。

 福岡県北九州市の慶成高等学校では、生徒へ自転車通学許可証を交付するにあたり交通安全教室への参加、任意保険への加入、保護者による自転車の整備確認を条件にしています。生徒指導の水田さんによると、この取り組みを行うようになってから、大きな事故はほとんどなくなったといいます。

 自転車の事故を減らすためまず重要なのは、意識調査で多くのコメントが寄せられたように、自転車を使う人みなが高い安全意識を持って運転することでしょう。しかし、そのためにはどうしたら良いのでしょうか。一定の効果を上げている荒川区や慶成高等学校の取り組みは、ひとつの参考になるかもしれません。

 また意識調査では、「そもそも自転車が走行しても安全なように道路を整備することが先決」という声も多数あがっていました。

編集部おすすめ