全国の多くの道路は舗装されていますが、国土交通省のある統計では、「舗装率」は全国平均でわずか約28パーセントとされています。なぜこれほど低い数値なのでしょうか。

大阪75.1パーセント、埼玉は17.2パーセント!?

 国内の一般的な車道は、そのほとんどが舗装されており、未舗装の道路といえば、田畑のあいだを通る砂利道や林道などが思い浮かぶかもしれません。

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交通量が少なさそうな道路も多くが舗装されている。画像はイメージ(画像:写真AC)。

 ところが、国土交通省が毎年発行している『道路統計年報』の2016年版で、一般国道(高速道路ではない国道)、都道府県道、市町村道の都道府県別「舗装率」を見てみると、その値は全国平均で27.5パーセントとなっています。最も高い大阪府でも75.1パーセントで、東京都では64.3パーセント、埼玉県では17.2パーセントです。山間部や農地面積など、様々な要素を考慮に入れても、実際の肌感覚とはずいぶんかけ離れた数字に感じられるかもしれません。

 統計上の「舗装率」はなぜこれほど低いのでしょうか、国土交通省道路局に聞きました。

――「舗装率」が全国平均で約28パーセントとは、異様に低いように思えますが、なぜなのでしょうか?

「簡易舗装」を除いた数値だからです。簡易舗装を含めた舗装率になると、全国平均で80パーセントを超えます。

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 いわゆる「石畳」など、舗装にもさまざまな種類がありますが、上記の統計における「簡易舗装を含まない舗装率」は、アスファルトまたはコンクリートで舗装された道路を対象としたものです。国土交通省道路局に、さらに話を聞きました。

――簡易舗装とはどのようなものでしょうか。

 多くの場合、(舗装の上面にあたる)厚さ3~4cmの「表層」と、土に砂利を敷いた「路盤」からなる、薄く簡易なアスファルト混合物による舗装です。厳密には、『アスファルト舗装要綱』に依らず『簡易舗装要綱』(いずれも日本道路協会発行)に基づくものを指します。

 簡易舗装は耐久性の面では通常のアスファルト舗装に劣るものの、安価に施工できることから、交通量が少なく、重いトラックもあまり走らないような道路で用いられます。

アスファルト舗装と簡易舗装、統計ではなぜ区別?

――なぜ統計上区別されるのでしょうか?

 簡易舗装を区別するようになったのは、1986(昭和51)年4月1日現在の調査からで、おそらく、自治体が道路整備計画を立案するうえで便宜を図ってのことでしょう。『道路統計年報』はそれら計画の基本となる資料であり、簡易舗装の割合がどれほどかがわかれば、メンテナンスの予算案を立てるうえでも役立ちます。

――この「簡易舗装」にも含まれない「未舗装」というのは、どのような状態なのでしょうか?

 簡単にいえば、アスファルトまたはコンクリートで固められていない道路で、砂利道などが該当します。

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「簡易舗装を含まない舗装率」は、一般国道のなかでも国が管理する「指定区間」(実延長約2万3700km)で99.9パーセントに達しています。一方、一般国道と都道府県道の合計より5倍以上も長い市町村道(実延長約102万6700km)では19.3パーセントに留まっていますので、一般国道、都道府県道、市町村道を合計した舗装率は27.5パーセントになるというわけです。なお、それらにおける「簡易舗装を含む舗装率」は、2015年4月1日現在、81.6パーセントです。

 国土交通省道路局は、「自治体などは、交通の実態に応じて適材適所でアスファルト舗装と簡易舗装を使いわけています。特に市町村道では、あまりお金をかける必要がないと判断され、簡易舗装が多く用いられます」といいます。

 なお、基本的に表層と路盤からなる単純な簡易舗装に対し、『アスファルト舗装要綱』による舗装は、道路条件に応じていくつもの層から構成されます。

耐用年数はおおむね、前者は5年、後者は10年とされています。

【グラフ】舗装率の推移

道路舗装率、全国平均28%? 低すぎる数字は何を意味しているのか

折れ線が舗装率。なお実延長は、一般国道と都道府県道が合わせて約18万5000km、市町村道は約102万7000km(国土交通省発行『道路統計年報』の一部を加工)。

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