ネット証券の誕生による手数料低下やサービスの充実は個人投資家に大きなプラスとなった。「山一證券の倒産(1997年)で山一の株を紙屑にして凹んでいたところに、手数料低下という一筋の光明が…。

頻繁に売買できるようになり勝率がアップしましたね」と語るのは優待株名人の桐谷広人さん。その時々の特例や新税制も利用し節税にも余念がない桐谷さんの手数料&税金ゼロにこだわる対処法を聞いた。

【※桐谷さんの最新記事はこちら!(2018年12月公開)】
⇒株主優待名人・桐谷さんの「2018年『株』事件簿」!
運用成績は全体的に好調ながら、お気に入りの「三光マーケティングフーズ」の株主優待改悪など悲劇も!

【※2018年12月のおすすめ株主優待銘柄の情報はこちら!】
⇒【2018年12月の株主優待の内容と利回りを調査!】
すかいらーく、マクドナルドなど、外食系の優待や、ビール大手3社、高利回りのQUOカード優待も多数!

◆1月~12月までのお得な株主優待の内容はココでチェック!◆

【桐谷さんの株式投資術(1)】
15年以上続くネット証券の手数料競争を
今後も見極めてネット証券を渡り歩く!

 ネット証券誕生後、売買手数料は競い合うように低下した。元々使っていた松井証券がネット証券になったこともあり、桐谷さんもすぐにネット証券で売買を始めた。

「手数料を気にせず売買できるようになり勝率もアップ。当初は、安い手数料のサービスを出したネット証券に次々と口座を開いて売買。

今でも各証券会社の手数料などのチェックはおこたりません。勝つためにコストはとても大事です!」(桐谷さん)

◆桐谷さんが現在使っているおすすめのネット証券5社はココだ!
(※関連記事⇒◆「株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」
         桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社!)
指値(1約定ごと)※税抜会社詳細10万円30万円50万円 ◆松井証券(初心者に特におすすめ!)0円
(一日定額制の場合)300円
(一日定額制の場合)500円
(一日定額制の場合)【桐谷さんが「初心者」に松井証券をおすすめする理由】
桐谷さんもよく利用している松井証券は、1日10万円までの取引は売買手数料が無料になるのが特徴。少額の株主優待銘柄に投資するなら手数料が無料になるのは魅力的だ。また、株式投資・金融情報サイト「QUICK」が無料で見られるほか、チャート分析ツール「チャートフォリオ」も無料で、桐谷さんも「とても便利でよく使う」とのこと。ただし、深夜は利用できる機能が少ないので、夜型の生活の人は要注意。【関連記事】【松井証券のおすすめポイントはココだ!】松井証券の無料サービスと個性派投資情報を使いこなそう! ◆岩井コスモ証券(少額取引が多い個人投資家に特におすすめ!)80円
(一日定額制の場合)240円
(一日定額制の場合)400円
(一日定額制の場合)【桐谷さんが岩井コスモ証券をおすすめする理由】
桐谷さんが「手数料が安い」ことから、2000年頃から利用していた岩井コスモ証券。
その後ワケあって他社へ株券を移管する際、スピーディーな対応をしてくれたことに恩義を感じて、現在に至るまで取引を続けている。桐谷さんが利用しているのは一日定額(アクティブコース)。10万円まで86円(税込)、20万円までだと172円(税込)となり、「10万円超20万円以下では松井証券より安くなるので、投資金額が安い株は岩井コスモ証券で売買する」(桐谷さん)。少額取引が多い個人投資家にはおすすめだ。 ◆SBI証券(みんなにおすすめ!)139円272円 272円 【桐谷さんがSBI証券をおすすめする理由】
桐谷さんも利用しているSBI証券は「株主優待検索」を使って「優待権利確定月」や「優待がある5万円以下の銘柄」といった条件のほか、「ファッションの優待」などジャンル別で銘柄を絞り込めるので、優待投資家には便利。また、30年チャートが表示できるので長期保有する際に参考になる。
桐谷さんも投資する前には30年チャートをよく参考にするそうだ。【関連記事】【SBI証券のおすすめポイントはココだ!】IPOの多さ&夜間取引、銀行との連携など独自サービスも充実のネット証券最大手 ◆GMOクリック証券(みんなにおすすめ!)88円241円 241円 【桐谷さんがGMOクリック証券をおすすめする理由】
手数料の安さに魅かれて桐谷さんが口座開設をしたGMOクリック証券。また、GMOグループの株を保有する桐谷さんにとってはGMOアドパートナーズやGMOインターネット、GMOクラウド、GMOペパボなどの優待を使うことで1年間に2万~3万円の株式取引手数料が無料になるため「GMOクリック証券は積極的に使っている」(桐谷さん)。桐谷さんが利用しているのは「一約定ごと」の手数料コースだ。【関連記事】【GMOクリック証券のおすすめポイントはココだ!】コストが激安な上にツール、情報も充実して大手ネット証券に成長 ◆ライブスター証券(みんなにおすすめ!)80円180円 180円 【桐谷さんがライブスター証券をおすすめする理由】
2011年にひょんなことからライブスター証券の口座を開設することになった桐谷さん。2カ月間手数料無料キャンペーンを実施していたため、「2カ月間、必死で売買しました」(桐谷さん)。
桐谷さんが利用しているのは一約定ごとの手数料コース。10万円まで86円(税込)、20万円までで104円(税込)と「手数料が安いので使っています」(桐谷さん)【関連記事】【ライブスター証券のおすすめポイントはココだ!】日本株現物手数料はあらゆる価格帯で最安値【桐谷さんの株式投資術(2)】
最大3年間の損失の繰越控除が可能に
リーマンショックの損を繰り越し数年間税金ゼロに

 2003年1月から最大3年間の損失の繰越控除が可能となり、翌年以降の利益と相殺できるようになった。さらに2007年からは配当との損益通算も可能に。

リーマン・ショックの損失を繰り越せて助かりました。配当などの利益と相殺させて、しばらく税金を払わなくていいほどの損失が出ましたから…。配当との損益通算は忘れがちですが、損が出ていたら、配当からの源泉徴収分を取り戻しすべし!」(桐谷さん)

【桐谷さんの株式投資術(3)】
税金が源泉される特定口座がスタート!
源泉ありの口座での取られ損に注意を

 2003年1月から株の税率は株価低迷などで、2013年まで10%の軽減税率が延長され続けた。

「損益通算などの点で特定口座の源泉徴収ありは不利なことも。会社員で年収2000万円以下であれば、20万円以下の利益は確定申告不要に。しかし、特定口座の源泉徴収ありの口座だと、自動的に税金を取られるはめに…。しかも、確定申告でも取り戻すことができないので、取られ損に注意。特定口座の源泉徴収なしを選ぶのが得策です」(桐谷さん)

【桐谷さんの株式投資術(4)】
スマートフォンの売買ツールが充実!
私は使っていないが憧れはあります

 スマートフォンが普及したことで、各ネット証券の売買アプリもどんどん充実していった。

「私は、携帯電話もつい最近使い始めたばかりなので、スマホは持ってませんが、外出先でも株価をチェックしたり、『板』を見ながら売買できて便利だなあと、いつも憧れています。

スマホの飲食割引券も併用したいし、いずれは使いこなしたいですねぇ……」(桐谷さん)

【桐谷さんの株式投資術(5)】
サラリーマンにぜひおすすめしたい
逆指値などの注文方法が多様化!

 各ネット証券のサービス競争は止まることなく、株価があらかじめ指定した価格まで下落すると自動的に損切り注文ができる「逆指値」など注文方法も多様化へ。

「私は損切りが嫌いなので逆指値は使いませんが、昔はプロしか見られなかったリアル『板』情報も、どんどんハイスペックな画面で個人投資家も見られるようになっています。プロと変わらない環境をどんどん利用するべきです。サラリーマンで含み損が拡大するのが嫌な人は逆指値を使うべき」(桐谷さん)

【桐谷さんの株式投資術(6)】
分割や単元株引き下げで最低投資額が低下、
リスクを分散させて高利回りの優待を狙え!

 株価が高くなりすぎると株式分割を発表したり、最近では単元株を100株に統一する流れを東証が推進している。

「100株に統一されれば誤発注も防げるので便利に。昔と比べて、少額しか持っていなくても多くの銘柄に分散できるようになったので、1銘柄に集中投資せず、リスクを分散させて投資を。株主優待も最少単元が高利回りのことが多いのでうれしい限り」(桐谷さん)

関連記事⇒「株主優待名人の桐谷広人さんがこの下落局面で初めて教えてくれた、ベルーナやGMOクリック、エイベックスなどおすすめ優待株ベスト10を発表!」

【桐谷さんの株式投資術(7)】
株主優待の新設や増配で株主還元を強化
たくさん分散してリスクを抑える!

 企業の株主還元の流れが強化され、優待や配当の新設で少額投資家でも利益が享受できるようになった。

「大昔は電鉄会社と映画会社くらいしか優待を出していませんでしたが、今はあらゆる業種の会社が優待を出すように。優待がもらえる最低単位で効率よく保有するのがベスト。たくさん分散して下落リスクを抑えましょう!」(桐谷さん)

【桐谷さんの株式投資術(8)】
税金が非課税になるNISAがスタート
私は高配当株を中心に使っています!

 株や投資信託への投資で出た利益がすべて非課税になるNISA口座。2016年からは購入枠が120万円に拡大し、ジュニアNISAも始まった。

「売買益だけでなく、配当や分配も非課税になる点で見逃せない制度。優待は元々税金がかからないので、NISAでは高配当株を中心に投資。結果、含み益も出ていて大満足の制度です。使わないなんてありえません」(桐谷さん)

 このように、色々なネット証券を使ってきた桐谷さんだが、今は10万円以下の株は松井証券、その他はNISAも含めSBI証券と使い分けている。もちろん、他社のコストも日々チェックを怠らない。手数料だけでなく、税金ゼロを目指してNISA口座をフル活用しつつ、損が出たときの繰り越しも抜け目なし。アナタも桐谷さんを見習ってムダなコストを完全に排除して利益率のアップを目指そう。

【関連記事⇒「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社!