ロックバンド「シーナ&ロケッツ」のボーカルのシーナさんが14日、子宮頸がんで亡くなった。61歳だった。

18日に通夜が、19日に告別式が行われ、シーナさんの遺族や関係者が別れを惜しんだ。

 シーナ&ザ・ロケッツは、シーナさんが夫であるギタリスト・鮎川誠とともに、1978年に結成したバンドだ。国内だけではなく海外でも活躍し、エルビス・コステロやラモーンズとも共演を果たした。代表曲に「レモンティー」「ユー・メイ・ドリーム」などがある。シーナさんについて、音楽雑誌の記者はこう話す。

「CMや映画、テレビドラマでも活躍した鮎川が愛する妻として、2人の仲睦まじさは広く知られていました。
ボーカリストとしても、かすれたパワフルな歌声が高い評価を得ていましたね。変わった経歴の持ち主でもあり、バンド結成時にシーナはすでに2児の母で、プロのミュージシャンとして活動したことがなかった。女性ミュージシャンが出産後も活動するケースは珍しくありませんが、子どもがいる状態からプロとして成功を収めたのは、稀有な例です。のちにもう1人産まれ、音楽と子育てを両立しながら、3人の娘を育てあげました」

 鮎川夫妻について、ウルフルズのギター、ウルフルケイスケは通夜で「ジョン・レノンとオノ・ヨーコみたいな夫婦でした」と振り返り、内田裕也は「双子の子どもを産み、母として女性として地に足のついたROCK’N ROLL BAND!」と述べている。Twitterでも、ROLLY、THE虎舞龍・高橋ジョージ、Zeebra、金子賢輔(RIZE)、川本真琴、山口隆(サンボマスター)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)ら、年代や音楽のジャンルを問わず、多くのミュージシャンが追悼コメントを投稿しており、シーナさんの人徳がうかがい知れる。通夜には2,000人ものファンが集まった。


「鮎川夫妻はともに優しい人柄で知られ、シーナ&ザ・ロケッツとは音楽性の違う内田裕也のフェス『NEW YEARS WORLD ROCK FESTIVAL』に30年以上も出演を続けるなど、義理堅い面もありました。音楽ビジネスという観点では第一線ではないにもかかわらず、現役でプロのミュージシャンとして活躍し続けられたのは、ロックへの情熱にあふれていたことはもちろんですが、人望の厚さも理由のひとつでしょう」(同)

 通夜において、鮎川は「病気になって治療かロックかとなって、シーナは迷わずにロックを選んだ」と語った。昨年10月23日までライブに出演し、亡くなった日は鮎川と一緒に「ROKKET RIDE」を聴いていたという。最期までロックシンガーであり続けたシーナさんに哀悼の意を表するとともに、残されたメンバーで活動を続けていくシーナ&ロケッツを見守りたい。
(文=佐柳ちひろ)