平均年齢61.7歳、還暦を過ぎた“最年長新人バンド”として昨年颯爽とデビューした「The KanLeKeeZ(ザ・カンレキーズ)」。揃いのミリタリールック以外は「THE ALFEE」にそっくりな彼らの新曲『エレキな恋人』が、「THE ALFEE meets The KanLeKeeZ」と銘打ったTHE ALFEEのニューシングル『あなたに贈る愛の歌』(5月24日発売)のカップリングとしてリリースされる。
1960年代後半に一世を風靡したGS(グループ・サウンズ)を愛し、今年もTHE ALFEEのライブに出演して“GSの伝道師”のごとく活動を続けるThe KanLeKeeZについて、彼らをよく知るTHE ALFEEの3人をテックインサイトが直撃した。その中でかつて「ザ・スパイダース」でGSブームの第一線で活躍し、3月1日に亡くなられたムッシュかまやつさん(享年78歳)についても語ってもらった。

■The KanLeKeeZ=THE ALFEE?
―まず確認したいのですが、カンレキーズ=アルフィーでよろしいのでしょうか?
高見沢俊彦:いいですよー。ミリタリールックを着るとカンレキーズになりますね。
坂崎幸之助:昔、(アルフィーが別グループとして活動していた)BE∀T BOYSで(設定に凝って)失敗していますからね(笑)。
高見沢:設定作ると面倒くさいんだよね。
まあ、今ライブやっていますけど、カンレキーズもアルフィーのナンバーをやってますから、ミリタリールックを着ているか着ていないかの差だけですね。

■GSはバンドでやらないと面白くない!
―では、アルフィーのお三人にカンレキーズについてお聞きします(笑)。以前から桜井賢さんの音楽のルーツとしてGSが挙げられることはありましたが、なぜ今、GSだったのでしょうか?
高見沢:3年前のアルフィーの40周年のときにツアーパンフレットで、「影響を受けた音楽」としてフォークからロックまでいろいろな格好をしたんですよ。
坂崎:コスプレしたんです。
高見沢:その中にGSがあって、ミリタリールックを3人で着たんですよね。それがすごく印象にあって、その後僕がソロでGSをダンスミュージックにアレンジしたりしたんですよ。
でもやっぱりね、GSって一人だとつまらないんだよね。バンドでやらないとGSのイメージじゃなくて。そこでアルフィーでやってみたらどうなるんだろうと。それで『G.S. I Love You -あの日の君へ』(2015年12月発売のTHE ALFEEのアルバム『三位一体』に収録)を作ってから、去年の春ツアーで3人でミリタリールックを着てやってみたら非常にしっくりきちゃって、楽しかったという感じですね。

The KanLeKeeZは偶然の産物
―すると、最初から今のような活動を考えていたわけではないのですね。
高見沢:得意のやっていくうちに…というやつですね。
初めから戦略的に考えてやったことは一回もないから。カンレキーズも偶然の産物ですね。GSブームは小学校の高学年から中学生にかけてで、一番感受性の強いときに日本中大ブ―ムだったので、3人とも同年代ですから同じものを見ているわけですよ。子供のときに感じたバンドへの憧れを具体化したのがカンレキーズだったのかな。それにミリタリールックが一番だね。デビュー43年目だけど、最初だけだしね、同じ衣装を作ったのは。

坂崎:作ったんじゃないですよ。吊るし。
高見沢:あ、そうだ、吊るしだ。新宿でマネージャーと3人で、これでいいんじゃないかって。

―当時ミリタリールックを着ていたグループはどのぐらいいたのですか?
高見沢:結構いましたよ。メインはザ・スパイダースとザ・ジャガーズ。

桜井賢:ザ・カーナビーツも着ていなかったっけ?
高見沢:一番は、かまやつ(ひろし)さんのいたスパイダースでしたね。

■久しぶりのスパイダースに感動
―そのかまやつさんの「お別れの会」が5月2日に営まれて、THE ALFEEのお三人も参列されたそうですが、今カンレキーズでGSを手がけていることもありますし、思いもひとしおだったのではないですか?
坂崎:そうですね。スパイダースの“かまやつ葬”ですからね。
高見沢:(スパイダースのメンバーが再集結して演奏したのを)目の前で聴いてましたよ。「うわー、スパイダースだ!」って。久々に聴いて感動しましたよ。

桜井:かぶりつきだったね。

■ムッシュかまやつさんのDNAを受け継ぎたい
―スパイダースの『あの時君はかった』を皆さんで歌われたそうですね。
高見沢:そうですね。その前に堺(正章)さんが「お別れの会」じゃなくて「かまやつひろしさんとともに」にしようって。なので、ムッシュとともに明るく歌った感じですね。
坂崎:暗くならないようにね。
高見沢:(アルフィーが)芽が出ない頃にかまやつさんのバックバンドをやらせてもらったこともあります。ムッシュに世話になった人はたくさんいますから、僕らはほんの一部ですけどかかわることができて幸せでしたね。一緒にツアーもまわれましたし、テレビに出たこともありますし、そういうことで言うと、ムッシュの幅広い音楽性のDNAを、アルフィーで少しでも遺志を継いでいければいいなあと僕は思っています。


■吉田拓郎曰く「アルフィーはGSだな」
―ところで、GSをリアルタイムで知らないアルフィーファンもたくさんいると思いますが、反響はいかがですか?
高見沢:それは分からないですね。もちろん賛もあれば否もあるでしょうけど、ただ僕らが楽しいということが一番ですから、そこはご理解いただけると嬉しいですよね。
坂崎:リアルタイムで知らない人もいるでしょうけど、僕らのひとつのルーツでもありますし、吉田拓郎さんが「アルフィーはGSだな。アルフィーは普通のロックバンドとは違うよな」ってずっと言っていたんですよ。
高見沢:ほとんどアウトロー的なところがないからな。
坂崎:あと『メリーアン』とか『星空のディスタンス』のそういう世界観とメロディーが分かりやすいじゃないですか。たぶん高見沢メロディーがすぎやまこういちさんとか筒美京平さんのあの世代の方々のメロディーに近いんじゃないかなと思うんですよ。それを言っているんじゃないかと思うんですよね。

―なるほど。音楽的な観点なのですね。
坂崎:あと僕らがお笑いやコントをやったり、ツアーパンフでアイドルのような写真を撮ったりすると、拓郎さんは「ザ・ローリング・ストーンズやザ・フーはやらないぞ」っていつも言っていたんですよ。拓郎さんからするとアルフィーと比べるのに一番近いのがGSだったんでしょうね。その辺の見方はさすがだなと。

―すると、吉田拓郎さんから見ると、カンレキーズの出現には「納得!」という感じなのでしょうか?
高見沢:いやー、納得はしていないでしょうね。褒めてもらったことはないですけどね。
坂崎:大笑いしてましたね。「お前ら、まさかミリタリーでライブやってるんじゃないだろうな」って(笑)。
高見沢:その通りです(笑)。

―ライブと言いますと、カンレキーズがメインのライブやツアーの予定はありますか?
高見沢:時間的に見て単独のツアーは無理でしょうね。だったらアルフィーやった方がいい。まず曲数がないですから。
坂崎:レパートリーが少ないし、曲短いし。
高見沢:すぐに終わっちゃうもんな。あとはコントになっちゃうと大変だし。アルフィーの方が43年やってるんで、いろいろできますから。


■世代を越えて良い関係を築くコツとは?
―では、アルフィーのライブに登場するカンレキーズを楽しみにしています(笑)。さきほどからかまやつさんや吉田拓郎さんの話が出ていますが、アルフィーの皆さんを見ていると先輩方はもちろん、KinKi KidsやももいろクローバーZなど若い世代の方ともいい関係を築かれているなと感じます。そのコツは何でしょうか?
高見沢:それは分からないなあ。たぶんアルフィーという人間性が扱いやすいんじゃないですか。
坂崎:とっつきやすいのかな?(笑)
高見沢:すごい個性があるわけじゃないけど、それが逆に個性だったりするじゃないですか。(デビューした頃は)コピーバンドでオリジナルもなくて個性的なグルーブではなかったですが、同じ時代にデビューしたバンドは強烈だったんですよ。僕らみたいのはあんまり邪魔にならないじゃないですか。そういうところはあったかもしれないですね。
坂崎:大御所感がない。
高見沢:それはお前だけや!(笑)。
坂崎:俺だけか。そりゃ高見沢さんは大御所感があります(笑)。

―でも高見沢さんのラジオ番組(『高見沢俊彦のロックばん』TBSラジオ)を聴いていますと、若手のミュージシャンがゲストに来たときも、まったく偉ぶったところがないですよね。
一同:全然偉くないし!(笑)
高見沢:それもやはりムッシュの影響でしょうね。かまやつさんもそうやって若い人と同じ目線で話をしてくれました。そういうのは勉強になりましたね。
坂崎:あと先輩たちには逆にリスペクトですかね。僕らが持っているのを感じ取ってくれているのではないですか。

―坂崎さんのラジオ番組(『K's TRANSMISSION』FM NACK5)にゲストに来られた先輩方は皆さん楽しそうに話していらっしゃいますよね。
坂崎:僕が失礼なことを言っても許されちゃうというか、甘えてしまいますけど。僕も本気で先輩方の曲を聴いてきましたので、自分も忘れているような曲をつつかれると、「こいつにはあんまり偉そうなことは言えねぇな」というのがあるかもしれませんよ(笑)。



(TechinsightJapan編集部 関原りあん)