今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
■たまにいる「医師免許のある彫師」は微妙な存在
うーん、ひどい判決が出ましたね。
もし本当に医師免許がなければダメだと言うなら、皮膚に傷をつけてインクまで入れてるんですから「傷害罪」だと思うんですが、「医師法違反」だけですからね。腰が引けてますよ。そもそも最初は略式だったんですから、いずれにしろダメダメ裁判です。
だって、刺青はアートで、医療行為じゃないです。
主任弁護人さん(美人!)は、記者会見で「この国から彫師という職業も文化もなくなってしまう」と批判されたそうですが、おっしゃる通りです。日本の刺青は、国際的にも評価が高いのです。それに、この判決で日本の彫師さんたちが全員失職したら、それも大問題ですよ。
ググったら、長瀬敬昭裁判長は「警察がコッソリGPS端末をつける捜査は、プライバシーの侵害だからダメ」といういい判決も出されていました。
今回の件で、ご近所のドクターに「医師免許のある彫師さんなんて、聞いたことない!」と愚痴を言ったら、「実はたまにいる」のだそうです。「要するに整形とかでやらかして、本業で食えなくなった医者が『アートメイク』とか『ワンポイントタトゥー』とかをやってることがある」そうです。むしろ怖いですよね。美容外科のトラブルはたまに報道されますが、こんな人に刺青を入れてほしくないですよね。
彫師さんは、厳しい徒弟制度の下で修業されている方が多く、技術はだいたいちゃんとしてると思いますよ。
この判決の背景には、警察や裁判所的に「刺青=暴力団員」という先入観があると思います。
でも、そうでしょうか? スターの中でタトゥーを入れていらっしゃる方は、本当に多いですよね。思いつくだけでも木村拓哉・工藤静香さん夫妻からTOKIOの長瀬智也さん、浜崎あゆみさんのほか、最近はモデルの水原希子さんや道端ジェシカさん、森泉さん、あびる優さんといったきれいどころも話題です。
あとミュージシャンも多いですよね。EXILEのTAKAHIROさんとATSUSHIさん、黒夢の清春さん、GLAYのTERUさん、THE YELLOW MONKEYの吉井和哉さん、Dragon Ashの降谷建志さん、B'zの稲葉浩志さんとか。女性でも中島美嘉さん、夏川りみさん、安室奈美恵さんなどなど。
意外なところでは鈴木おさむ・大島美幸さんご夫妻とか、なでしこジャパンの澤穂希さんも、入れていらっしゃいますよね。
ヤクザの世界では、刺青は別名「ガマン」といいます。痛いし、お金も時間もかかるし、背中に入れたら自分では見えないし、そんなにいいことはありません。でも、ガマンして刺青を完成させるのがカッコイイのです。なので、著名人の方があまりプラス評価の対象にはならないタトゥーをなぜ入れたいのかはよくわかりませんが、それこそ憲法で保障されている「愚行権」(憲法第13条の幸福追求権)ですよね。タバコを吸ったり、お酒を飲んだりするのと同じで、いいことじゃないけど、本人がいいならまあいいじゃないですか、ということです。
ちなみにオットと私は入れていません。痛いし、お金もかかりますしね。それに何十年もたつと色があせてくるので、メンテナンスも必要です。実はヤクザでも入れていない人は多いです。有名なのは、三代目山口組の田岡一雄組長と四代目就任後すぐに射殺された竹中正久組長ですね。あとは元「安藤組」組長で、作家・俳優の安藤昇さんもなかったと聞いています。
きちんとした刺青は、本当に美しいです。全国に、立派な彫師さんはたくさんいらっしゃるのです。今後は衛生面など一定の規制が必要になるかもしれませんが、消すのは容易でないこともちゃんと説明した上で、ヤクザもカタギさんも、入れたい方は自己責任でお願いしたいです。それを「医師免許がないからダメ」と一律に規制する動きには、どうにも納得がいきません。