誰でも絶対においしくできて、つくり方というつくり方もないくらい簡単な、まさに「ほっとくだけごちそう」。今月号の坂田阿希子(さかた・あきこ)さんの連載「サカタメシ」では「ホロホロ丸鶏と絶品スープ」を紹介します。


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食卓に出すと、「ウォ~、ウォ~!」と歓声が上がること間違いなしの一品。
丸鶏は下処理をしなくていいし、骨付き丸ごとなので、おいしいスープも同時にとれます。お肉はホロホロッとくずれるくらいに柔らかく、これだけでもかなりのごちそう感。
深めの鍋に丸鶏をポンッと入れ、かぶるくらいの水を注いで火にかけます。沸騰するまでは強火、沸騰したら火を弱め、ユラユラと水面が揺れるくらいの火加減でゆでます。このときふたはしないで、鶏のくせやくさみをどんどん蒸発させます。

野菜の切れ端があれば一緒に入れて香りをつけても。たまねぎやセロリの端っこを入れれば洋風料理に合う香りになります。水だけでゆでるのも、万能に使えるのでおすすめ。
きょうはベトナム風のたれでお肉を食べ、スープはフォー風にアレンジ。なので、ねぎの青いところとしょうがを入れるとピッタリ合います。アクを取りながら、1時間~1時間30分ほっておきましょう。
途中でゆで汁が少なくなってきたら、鶏が浸るくらいに水を足します。
さて、きょうのもう一つの主役「ベトナムねぎだれ」。
これは冗談でなく、100万回はつくっているんじゃないかというわが家の定番。
誰もがおいしい! と言ってくれます。ベトナムに行ったときに、現地の料理教室で習ったあえだれで、これが本当に万能。野菜やお肉、麺をあえても、とにかく何にでも合う!
つくり方にはちょっとしたポイントがあります。
細ねぎをこれでもか、とたっぷり小口切りにしてボウルへ。みじん切りのにんにくを多めの油でゆっくり炒め、香りが出てきたら刻んだ干しえびを加えます。この油を細ねぎにジャッ!とかけます。アツアツをかけることで、細ねぎの香りがたち、うまみも増すのです。
にんにくを炒めたフライパンにナムプラー、酢、砂糖、塩、赤とうがらしをちぎって加え、砂糖が溶けるまで加熱。少し冷めたらさっきのねぎの油と合わせてでき上がり。

ホロホロになった鶏とこのねぎだれは最高の相性です。あともう一つ、あるとないとでは全然おいしさが違ってくるのが揚げエシャロットと揚げにんにく。薄切りにして、浸るくらいの油で順にゆっくりと揚げます。ある程度色づいたあとは一気に焦げやすくなるので、注意してください。
スープにこの揚げエシャロットと油をかけるだけで断然おいしくなっちゃう! ぜひ試してほしいです。
丸鶏がゆで上がったら大皿にドドーンと盛りつけ。
骨を抜いて食べやすくほぐします。ねぎだれをかけて、お好みの薬味を添え、ライムをギュッと搾って。ご飯のおかずにもなるし、ビールにも合うメニューです。うまみたっぷりのスープは塩で味を調え、ご飯にかけてもおいしい。私は太めのそうめんにスープをかけて、ねぎだれや揚げエシャロット、そして、ライムを添えてフォー風に楽しむのが大好きです。
※分量とつくり方はテキストに掲載しています。

■『NHKきょうの料理ビギナーズ』2017年6月号より