ロイヤルホスト24時間営業廃止へ 「日本の働き方」に変化の兆しか

ロイヤルホスト24時間営業廃止へ 「日本の働き方」に変化の兆しか

ファミリーレストランチェーン「ロイヤルホスト」は、来年1月までに24時間営業を廃止することを決定した。早朝や深夜の営業を短縮し、定休日の導入も検討しているという。ブラック企業や過労などの問題が度々取り沙汰されるが、具体的な改善の兆しも見え始めてきた「日本の労働」についてまとめてみた。

ロイヤルホスト24時間営業廃止へ 定休日導入も検討

ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」は、来年1月までに全店で24時間営業を廃止することを決定した。
すでに多くの店舗で早朝や深夜営業短縮にも取り組んでおり、今後は定休日の導入も検討しているようだ。

ロイヤルホストは全国223店舗。かつては大半が24時間営業だったが、2011年ごろから営業時間の短縮に取り組み、現在では桜川店(大阪府)と府中東店(東京都)だけ。この2店も、来年1月までに深夜営業をやめる。また、早朝や深夜の営業時間短縮も進めていて、すでに全店平均でみると前年比で30分超も短くしたという。
朝日新聞デジタル‐ロイヤルホスト、24時間営業廃止へ 定休日も導入検討

深夜営業は止めて正解?飲食店苦境の背景
深夜から撤退する外食、なぜコンビニは24時間営業を続けるのか?

なぜ?飲食業界の深夜営業が減少傾向にあるワケ

ロイヤルホストのみならず、コストに見合わなくなっていることから深夜営業を減らす傾向にある外食業界。
吉野家、すき家、すかいらーく、マクドナルドといった名だたる大手外食チェーンでも、深夜営業を廃止・短縮する店舗が増加している。

大手各社の深夜営業減少状況は、牛丼の吉野家が521店舗減、すき家では1254店舗減、すかいらーくでは600店舗超を閉店、または時間短縮しています。外食チェーンの優等生と呼ばれたマクドナルドでも、一昨年から2年間で400超の店舗で24時間営業を縮小しています。
JIJICO‐深夜営業は止めて正解?飲食店苦境の背景

飲食店の深夜ターゲット層である若者世代は、少子高齢化によって減少。
その上、健康志向の上昇や車離れなどで、夜中に出回りジャンクフードを食べるという行動にはなかなか至らないのかもしれない。
また、コンビニエンスストアのイートインコーナーの増加も、外食産業に大きく影響を与えているようだ。

これらの状況が重なってしまえば、深夜営業は時代にそぐわないというのも頷ける。
 外食業界は、深夜営業を減らす傾向だ。人手不足で賃金が上がり、売上高がコストに見合わなくなってきているためだ。また人が集まらない中で無理に営業すれば、従業員に長時間労働を強いることにもなる。生活習慣の変化で、深夜の利用客が減っているという事情もある。
朝日新聞デジタル‐ロイヤルホスト、24時間営業廃止へ 定休日も導入検討

かねてよりブラック企業や過労など、問題視されてきた日本の労働状況。飲食業界はその最たる例である。
今回のロイヤルホスト深夜営業廃止は、今後の飲食業界における労働環境改善の布石となりえるのだろうか。
過労にあえぐ労働者たちの希望の光となってほしいと願わずにはいられない。

徐々に改善?3年前より残業時間大幅に減少 経団連も警鐘鳴らす

「みんな働いているのだから、残業しないわけにはいかない」、「残業をしないことや休むこと=頑張っていない、評価されない」。

日本人はとりわけ労働において<努力論>ひいては<精神論>に偏りがちな傾向にあることを否定できないだろう。
また、美徳とされている<協調性>もその性質をより強化している。

10月24日付けのフランクフルター・アルゲマイネ紙では、日本の労働環境を「成果ではなく、いまだに何時間働いたかによって評価される」と評している。
日本人の「サムライ型」労働は、もはや限界だ‐東洋経済ONLINE

「出来ませんは甘え」というのは理不尽な言い分のようにみえるが、名誉を重んずる武士にとって「甘え」は見過ごすことができないものだ。世間体とまわりの空気を気にして、自ら逃げ道をふさぐ。日本には、今でも驚くほど「サムライ的な考え方」が深く根づいているのではないだろうか。

若者が会社で出会う上司は、そういった「サムライ型」労働をこれまでやってきた世代の人が多い。彼らは、そのワークスタイルが自分を成長させてくれたと思っている。だから、若者にも同じように、「身を粉にして会社に尽くせ」と教えることになるのだ。こうした「サムライ魂の押し付け」が、若者の生命力を削り取っている。
日本人の「サムライ型」労働は、もはや限界だ‐東洋経済ONLINE


しかし、労働に関しての議論が隆盛を迎える昨今。意識改革の過渡期にあるのだろうか。
少しずつではあるが、労働環境は改善へと向かう兆しが見えてきたようにも思える。

就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」によると、残業時間は3年前に比べて大幅に減少しているというデータが発表された。
過去5年の推移を見ると、2015年と2016年に平均残業時間が大幅に減少。2014年に平均44時間/月だったものが、2015年には5時間減り39時間/月、2016年にはさらに4時間減り35時間/月という結果になり、2013年と2016年を比べると月間11時間の減少となっている。
残業時間は3年前に比べ大幅減少‐マイナビニュース

また、一般社会法人日本経済団体連合会(通称:経団連)は15日、「過重労働防止徹底のお願い」を提言。
このように、長時間労働の改善を促すための文書を発表するのは異例の事態である。
2014年11月、過労死等防止対策推進法が施行されたことから、毎年11月は過労死等防止啓発月間に指定されております。過労死は絶対にあってはならないことであり、経営トップが先頭に立って、管理職も含めた社員の過重労働防止対策に取り組まなければなりません。
一般社団法人日本経済団体連合会‐過重労働防止徹底のお願い

糸井重里のインタビューが話題に 「ちゃんとメシ食って、風呂入って、寝てる人にはかなわない」

AERAにて掲載された糸井重里氏の労働に関するインタビューが話題を呼んだ。
タイトルは「糸井重里から働く人へ ちゃんとメシ食って、風呂入って、寝てる人にはかなわない」。
ドキッとする人や、思わずうなずいてしまう人もいるであろう、ビビッドな文言はさすが一流コピーライターである。

コピーライターという職業もまた忙しいイメージが強い。まして“糸井重里”というビッグネームともなると尚更だろう。
そんな彼が投げかける言葉だからこそ、逆説的に胸に響く。

でも、ひとつだけ言いたいことがあります。ちゃんとメシ食って、ちゃんと風呂に入って、ちゃんと寝てる人には、かなわない、ってことです。

 ぼく自身散々無茶(むちゃ)もやってきたけど、40代になってから、そういう健全な人が目に入るようになりました。大人数で会議をすると、目立つタイプではないけれど穏やかで、話してみるとよく考えている人がいるんですよね。その人がチームにいるのは、皆がいてほしいからなんです。

 寝食を忘れ無理して働けば、瞬発力で花火を打ち上げるようなことは誰にでもできるかもしれません。でも、ものごとには波があって、ダメかもしれない時期も、いまだ、進め!という時期もあります。健全な人がその波を渡っていく。だんだんと、自分がそういう人に追い抜かれていくのを想像するようになるんです。寝ないで無理すれば、大抵お酒が絡んできます。無頼を気取って飲んだくれている人を、健全な人が追い抜いていくんです。

糸井重里から働く人へ ちゃんとメシ食って、風呂入って、寝てる人にはかなわない‐dot.




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