YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
Photo by HIROKI NAKASHIMA

ロックバンドLAID BACK OCEANのボーカルYAFUMIが、役者に初めて挑戦した舞台『スタディ・イン・ニュージーランド』が9月23日にスタートした。これはNYLON100℃の木乃江祐希が、2016年に一人で旗揚げした劇団コノエノ!による第2回公演であり、木乃江のニュージーランド留学体験を元に作られている。
演劇の素晴らしさを追求したいという彼女の18年間の想いがたっぷり詰まった舞台に、YAFUMIはどう挑むのか。

昨年来、バンド活動を通じて放つ様々なYAFUMIの新しい試みは、ファンの心をいろんな角度からざわつかせてきた。それはスライムまみれのCDであったり、歌詞カードが鬼のようにイカ臭かったり、「どうせ捨てるんでしょ?」などと書かれたCDだったりして、“こんなの見たことも出会ったこともない”という驚きと、“なんだよこれ面白すぎる!”という笑いの中に、ドキリとする繊細な瞬間が閉じ込められていた。意味が分かりそうで分からない、一つの正解など無さそうなそんな企画を人一倍楽しんでいたYAFUMIが、本公演ではますます楽しそうに歌い、羊の着ぐるみとマジックに囲まれながらコントもしているのだ。

そもそも、なぜこの舞台に出ることになったのか。

「友人に誘われてコノエノ!の第1回公演を観に行ったんです。
それにものすごく衝撃を受けて。木乃江の才能に圧倒されて、こんな面白い劇団なら次にあるときは出るよ~なんて冗談で言ってたんですよね。そしたら本当にオファーが来た(笑)」

YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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木乃江の感性や物事の捉え方、生きる姿勢を知るにつけ、尊敬する気持ちに混じってどこかしら自分と似ている部分を感じていたYAFUMIは、心底彼女を応援したいと思うようになっていた。未経験の役者という領域に多少は緊張しつつも出演を快諾すると、同時に劇中歌の制作もお願いされたという。ライブやイベント、楽曲制作など多忙な中、縁のなかった演劇界独特の言葉が飛び交う1ヶ月半の稽古にみっちり浸かり、楽曲も無事に完成。

「段取り、という意味ではミュージシャンとしてライブをしているときも役者として舞台をしているときも、僕の中では一緒なんですよね。
だからあまり緊張しないし台詞もすんなり入ってきました」

そして9月23日(土)、直前のゲネプロに続いて初日が幕を開けた。

物語は、主人公ユキがニュージーランドの鍾乳洞で遭難し、一人で死んでしまうかもしれないとパニックになっているところから始まる。木乃江が実体験を元に脚本を書いているだけあり、場面設定がやけにリアルなのだが、のどかな羊たち、ときおり出現するマジックとコントと対比するように前世とこの世、あの世の概念が入れ替わり交差する。うっかりしていると色んな時空に迷い込むのだが、気がつくと不思議なことに何か熱い魂のようなものを確かに受け取っている気持ちになる。この熱い塊は何なの? つかめそうでつかめない。

YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
Photo by HIROKI NAKASHIMA

YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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そしてめまぐるしく動く場面転換に、ほぼ全編で登場するYAFUMI。
その存在感が、劇中に何の違和感もなく溶け込んでいるにもかかわらず、やはりYAFUMIなのである。余裕すら感じられる台詞回しや、舞台では大切な間合いなど、YAFUMIなりの解釈がチームの中に当てはまっているのが分かる。なるほど、木乃江の脚本をより活かすための最高のキャスティングだったのではと思わずにはいられない。

そして重要なポイントで繰り返し歌われる劇中歌「Way of life」。バンドのライブとは全く違ったシチュエーションで聴くYAFUMIの歌声は、伸びやかで優しく、客席を丸ごと舞台と融合させる役割を想像以上に全うしていた。

あっという間の1時間半。
結果、ニュージーランドで学んだユキは、無事に鍾乳洞から抜け出し日本へ帰国できるのか? 

初日が無事に終了した後、YAFUMIはとても穏やかな表情をしていた。

「ライブとはまた違う、味わったことのない高揚感があって、それがすごく楽しかった」

YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
Photo by HIROKI NAKASHIMA

YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
Photo by HIROKI NAKASHIMA


木乃江が「今回は大好きな人ばかりを集めた」というだけあり、濃い濃い木乃江ワールドを展開させているこの公演、期間中は松田大輔/東京ダイナマイト 、岩崎う大/かもめんたる、菅良太郎/パンサーなど、他にも日替わりの豪華ゲストたちが出演する予定だ。

「日替わりのゲストさんたちの場面は、その方々が脚本を担当されているので、それもまた面白い。千秋楽まで、気を抜かずに楽しみたいですね」

最高の笑顔でそう言ったYAFUMIを、ぜひとも劇場で体感してみてほしい。
(取材・文/柴田曜子)

YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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YAFUMI(LAIDBACK OCEAN) 役者に初挑戦の舞台が開幕 「味わったことのない高揚感」
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≪公演情報≫
『スタディ・イン・ニュージーランド』
2017年9月23日(土)~2017年10月1日(日)東京・シアター711
※上演時間、チケット等の詳細は劇団オフィシャルサイトを参照

出演:小園茉奈(NYLON100℃)、木乃江祐希(NYLON100℃)、武藤心平(7%竹)、吉田電話(クロムモリブデン)、吉田英成(InnocentSphere)、福田高徳、宮本愛美、青木絵璃、常住真菜、田辺啓太、YAFUMI(LAID BACK OCEAN)、長田奈麻(NYLON100℃)、ブルー&スカイ、他

日替わりゲスト:
松田大輔/東京ダイナマイト(9月25日夜、27日昼、夜)
岩崎う大/かもめんたる(9月25日昼、29日昼)
菅良太郎/パンサー(9月24日夜、26日夜、28日夜)
その他

主催:コノエノ!と7%竹(合同)
作・演出:木乃江祐希

問い合わせ:J-Stage Navi(TEL.03-5912-0840 / 平日11:00-18:00)

■コノエノ! オフィシャルサイト
■LAID BACK OCEAN オフィシャルサイト