うっ、なんじゃこりゃ、というのが最初の感想。とっつきは恐ろしく悪い。
でもしばらく遊んでいるうちに、この手触りはやっぱり「モンハン」だなあ、と思えてきた。

「モンスターハンター Dynamic Hunting」は、今やゲーム業界を代表する人気シリーズとなった「モンスターハンター」のiPhone / iPod touch版。と言っても、PSP版の内容をそっくり移植しているわけではなく、スマートフォンならではのアレンジが随所に加えられており、中身はまったくの別モノと言った方がいいかもしれない。

たとえば本作では、村でクエストを請け負ったり、フィールドを歩きまわって素材やモンスターを探したりといった要素はなく、ステージを選ぶといきなりモンスターの目の前からスタート。1回の「狩り」もだいたい2~3分くらいで終わるバランスで、一度フィールドに出たら30分は戻ってこれなかったPSP版と比べると、ビックリするほどシンプルな作りになってます。

そして一番の違いが操作方法で、本作ではタッチとフリック操作だけですべてのアクションを行う点が特徴。
一例をあげると、攻撃したいときには、画面を一本指で素早くタッチ。移動したいときには、行きたい方向にゆっくり画面をなぞればOK──といった具合。最初に説明を見た時は「うわ、やりにくそう」って思ったんだけど、実際やってみると……むむむ、こりゃたしかに一筋縄ではいかないぞ。特に難しいのが回避(2本指で素早くフリック)で、慣れないとモンスターの攻撃をバカスカ喰らう。でも一方で、やっぱりこの遊びにくさこそが「モンハン」だよな! とニヤニヤウフフしてる自分もいる。

そもそも「モンハン」って、PS2で最初に発売されたときから「右スティックを倒して攻撃」という、とんでもなくトリッキーな操作方法だった。
たとえば大剣なら、スティックを上に倒すと斬り下ろし、左に倒せばなぎ払いといった具合。最初は攻撃もろくに当たらず、武器を振り回すどころか「武器に振り回されてる」と言ったほうがいいくらい。でも慣れてくるにしたがって、だんだん武器ごとのクセや立ち回りがわかってきて、狙った場所にズドーン! って当てられるようになる。これが気持ちいい!

操作に慣れることも「狩り」のうち。そう考えると、このタッチ&フリック操作って、ある意味ではすごく「モンハン」らしい。

はじめのうちは慣れない武器に振り回されつつ、やがてプレイを重ねるうちにズバーン! とクリティカルな一撃が決まる。
あれ、今のどうやったんだ? そうか、こうすればよかったのか! ──ちょっとコツを掴むだけで、それまであんなにも重くまとわりついていた武器が、ウソみたいに軽く思えてくる。こうした数字やシステムで表せない「上達するうれしさ」こそ「モンハン」の魅力であって、それはこの「Dynamic Hunting」にもしっかりと受け継がれている。この「武器に振り回される」感覚、久しぶりに味わったよ!

iPhone / iPod touchという器に合わせて、削るべきところは削り、残すべきところはちゃんと残す。村や採集といった要素をいさぎよく取っぱらったのも英断で、1回のプレイ時間が短いから、ちょっとした空き時間にもサッと取り出して遊べる。現時点では、登場するモンスターは12種類、使える武器も片手剣・大剣・双剣の3種類とまだまだボリューム不足が目立つものの、このへんはきっと今後のアップデートで改善されていくことでしょう(ですよね、カプコンさん!?)。

それにしても、久々に初心に返って遊んでみると、やっぱり「モンハン」って難しいゲームだと思う。
思いどおりにいかなくてiPhoneをブン投げたくなる瞬間もある。あとちょっと、ってところで力尽きて思わず「キイイィ!」って声が出ちゃうこともある。

え、なんでそんなに難しいゲームが450万本も売れたのかって?

そりゃあ、面白いからに決まってるでしょ!
(池谷勇人)