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うわっ…私のイヌ、うつ病…?『動物に「うつ」はあるのか』

2012年5月23日 11時00分

ライター情報:米光一成

『動物に「うつ」はあるのか』加藤忠史著・PHP新書 帯の言葉「これは病気? たんなる悩み? 脳と心をつなぐ挑戦 「とりあえず抗うつ薬」の落とし穴」。

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飼ってる犬が元気がない。食欲もない。寄ってこない。
「うちのイヌ、うつ病なのかな?」

って、動物にも「うつ」ってあるの!?
精神疾患って、動物にもあるの!?

そんな疑問に答える本が出た。
タイトルもズバリ『動物に「うつ」はあるのか』である。

最初に出てくるのは『シートン動物記』
その一番有名な「オオカミ王ロボ」の話。
ロボは、オオカミの群のリーダーで、どんな罠にもひっかからない賢いヤツ。
ところが、奥さんのブランカが人間に捕まると、冷静さを失って、捕まってしまう。
しかも、エサを与えられても、ぜんぜん食べずに死んでしまうのだ。
このケースはどうなのだろう?
妻を喪失して、うつ状態になっているのではないか。
そういうふうに読める物語だ。
“しかし、物語ですから、どうしても主観が入り、客観的な科学とはいえないと思います。ロボが肉を食べなかったのは、たんに、人の臭いがついていたので用心した可能性もあるでしょう”。
情緒ないなー。
っつても、科学的に調べるには、情緒的すぎるのは危険だから、正しい。

「レミングが集団で海に飛び込んで自殺する」「ゾウは死を予感すると墓場に向かう」
「イルカがみずから陸に上がって死んだ」といった話も、“どれも伝説にすぎないようです”。
レミングはそもそも集団で行動しないし、ゾウの墓場は密猟者が殺した跡だったというのが真相(ひ、ひどい!)らしいし、イルカは超音波で周囲を知る能力がうまく働かなくなったからだと推測される。

動物に「うつ」があるのか? という問いに答えるのはとても難しい。
それは、動物が質問しても答えてくれないから。

これが器質性精神障害なら、はっきり区別できる。
たとえば、ウイルス性の脳炎による意識障害。
“こうした病気では、精神の複雑さはあまり問題にならず、脳があってウイルスに感染すれば脳炎は起こります”。
そういう障害なら起こりえる。

じゃあ、同じように動物に「うつ」があるかどうか、わかってもよさそうなものである。
どうして動物に「うつ」があるかどうかが、はっきりわからないのだろうか。
本書は、ズバリこう記す。
“結局のところ、人のうつ病のことがよくわかってないから”!!

うつ病の診断は、“いまのところ、話を聞くことでなんとか診断している”のだ。
だが、動物に「どういうですか」って聞いても、
ロボ「ブランカを失ってから、もう生きる気力なくなったすよ」
とか答えてくれない。

いま、精神科医療現場では、「DSM-IV」という国際診断基準が用いられている。

ライター情報

米光一成

ゲームデザイナー/インターフェイスデザイナー/立命館大学映像学部教授/電子書籍部部長。ゲーム「ぷよぷよ」「BAROQUE」「トレジャーハンターG」の脚本監督企画担当。著作『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』『男の鳥肌名言集』等。宣伝会議編集ライター講座上級コース専任講師。
ツイッター/@yonemitsu
ブログ/こどものもうそう

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