MLBドラフト会議2日目が12日(日本時間13日)、米ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われ、スタンフォード大の佐々木麟太郎内野手(21)がマーリンズから8巡目(全体235位)で指名された。昨秋のNPBドラフト会議でもソフトバンクから1位指名されており、大学残留を含めた進路は家族や代理人とも相談して決める。

メジャーとの交渉期限は米東部時間の27日午後5時(日本時間28日午前6時)、NPBとの契約締結期限は今月末。約2週間の残された時間で、決断が注目される。

 安堵の笑みは一瞬だった。岩手・花巻温泉の会議室でMLBドラフト会議を見守った麟太郎。中継を映すパソコンの前には、米国での代理人や母もいたという。名前が呼ばれたのは13日午前2時半頃。マーリンズから8巡目指名だった。マネジメントをするナイスガイ・パートナーズの木下博之氏は、その瞬間を「一瞬顔がほころんだように見えたが、すぐにきりっとしたような目をした。無口になって意を決したような印象」と描写した。

 注目の進路は、すぐには決められなかった。木下氏は「これからご家族、代理人の方々ともしっかりお話しして、決断するということでした」と説明した。MLB公式サイトによると、全体235位の契約金相場は23万9200ドル(約3870万円)。

一方、ソフトバンクは新人選手の上限である契約金1億円、出来高5000万円を提示する可能性が高いとみられる。金銭面では大きな差がある。

 ただ、麟太郎は大志を抱いて24年に海を渡った。花巻東3年時もプロ志望届は提出していない。選んだのは世界的にも超名門のスタンフォード大進学。渡米直前には「とにかく挑戦」と語った。名前の由来は幕末の偉人・勝海舟の幼名から。「自分も固定観念を取っ払って、自分自身の道を歩んでいく―。そういう生き方をしたい」とも語っていた。

 幼少期から尊敬する「(大谷)翔平さん」がプレーするメジャーは間違いなく目標の一つだ。「8巡目となりましたが、本人としても真摯(しんし)に、前向きに受け止めていました」と木下氏。1年目の昨季は7本塁打だったが、今季は16発。

マーリンズのピリエル球団副社長は「桁外れのパワーと潜在能力を秘めている」と評価した。MLB球団に指名された事実は、本人にとって意義あるものだ。

 マーリンズとの交渉期限は米東部時間の27日午後5時(日本時間28日午前6時)で、ソフトバンクとの契約締結期限は今月末。今月上旬、ソフトバンクの施設は見学したが、これからマーリンズの施設を見学する予定はない。岩手県内に残って結論を出す。木下氏は「まだ彼には3つの選択肢がある。まだ何も決まってはいません。総合的に判断して、夢に向かってどこが一番成長できるかを考えながら」と語った。プロ入りを先送りして大学に残る道もある。日米から指名を受けた希有(けう)なスラッガーは、どんな決断を下すのか。(高橋 宏磁)

 ◆佐々木 麟太郎(ささき・りんたろう)2005年4月18日、岩手・北上市生まれ。21歳。

幼少時から野球を始め、江釣子(えづりこ)中では大谷翔平の父・徹氏が監督を務める金ケ崎シニアに所属し、2年夏に「4番・三塁」で東日本選抜大会優勝。花巻東では1年春からレギュラー。高校通算140本塁打。24年秋、米スタンフォード大に進学。184センチ、120キロ。右投左打。家族は両親と妹。

マ軍自信「楽観的に見ている」 マーリンズのフランキー・ピリエル球団副社長兼アマスカウト部門責任者が12日(日本時間13日)、オンライン取材に応じ、8巡目指名した麟太郎を「素晴らしい人間であることと、大きなパワーを持って、潜在能力もある。今後さらに伸びる可能性もある」と高く評価した。

 大学入学後から調査を始めていたというマーリンズ。担当スカウトとは公式戦を約15試合、練習試合なども視察。実力に加えて人間性も高く評価し、入団を拒否されるリスクがあることを承知の上での指名で「私たちは現時点でとてもエキサイティングしています。

話し合いは継続しますが、楽観的に見ています」と契約へ自信を見せた。

 交渉期限は27日(同28日)。期限は迫っているが「彼は彼にとってベストな選択をするでしょう。そういう立場を自分で作り上げたのです。彼ほど優れた選択肢を持つ選手は多くありません。素晴らしい立場を築いた彼が、どんな決断をするのか、楽しみにしています」と期待を込めていた。

 ◆マイアミ・マーリンズ 1993年の球団拡張で「フロリダ・マーリンズ」としてナ・リーグに加入。ワールドシリーズを97、03年に制覇した。12年に現チーム名に変更。米屈指のリゾート地でもあるマイアミ中心部にある本拠地ローンデポ・パークは23、26年のWBC決勝の舞台にもなった。日本人では過去にイチロー田沢純一が所属した。

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