『腹だけ痩せる技術』に出てくる腹を凹ませる方法は、すごい。
驚愕の秘技であった。

読みながら、実践していって、まだ2週間だが、すでに効果アリ。
そして、ここが最も感動的なんだけど、「これなら続けられる!」ってお気軽な方法なのである。

帯にこう書いてある。
“始めたその日に9.5cm凹んだ男性も!
話題の「ドローイン」で体型がすぐに変わる”


話題の「ドローイン」???
そういえば、『お腹を凹ませたい? だったら腹筋運動なんかやめちまえ!』のレビューの感想で、次のようなツイートがあった。
“やっぱドローインやろ!これでベルトの穴も一つ減らせる。”
ドローイン!? なにそれ?

と読み始めたら、な、なんと、か、かんたん過ぎる!
“おなかを凹ませるだけ”
ええええええええええええーーーーーーー!
そんなのインチキじゃない?
そりゃ凹むけど、一時的じゃない?
そんなのごまかしてるだけじゃない。

意識してずっと凹ませてなきゃいけないの?
そんなの、もうずっとおなかばっかり意識してるへんなおっさんになっちゃうよ!
というクレーム入れるぞ的な勢いになって続きを読む。

“最初は意識的に凹ませておなか周りの筋力を引き出すだけです。しかしそれを続けていると、わざと凹ませていないときでも凹んだ形になっていきます”
ほ、ほんとうだろうか?
“筋肉は使ったなりに形を変えていくのです。オリンピック選手は水泳、砲丸投げなど、種目ごとにとても特徴的な体型になっていますよね? これは特定の動作を繰り返すから。繰り返すことで筋肉は「形状記憶」するのです”。

いやいや、にわかには信じられない。筋肉が形状記憶するって、それ、オリンピック選手なみにハードにやらないとダメなんじゃない?

と思いつつも、「おなかを凹ませる」ってのは、超簡単。
信号待ちのときに、ちょっと凹ませてみよう、っつてやってみる。
仕事中、ふとしたタイミングで、ちょっと凹ませてみる。
風呂に入ったとき、凹ませてみる。
歯を磨くときに、凹ませてみる。

歩きながら、凹ませてみる。
本を読みながら、ちょっと凹ませてみたり。
どこでも、いつでも、気軽に、ひとめを気にすることなく、できる。
凹ませるだけの超簡単トレーニングなので、ついついやってしまった。
そう。トレーニングやらなきゃ!って感じじゃなくて、ついついやってしまう、って感覚になってくるのだ。


“ダイエットは「食事制限」「筋肉トレーニング」「有酸素運動(長時間行う全身運動)」が有効だといわれて”いる。
ところが、この3つ、なかなか、たいへんである。
「食事制限」は、おそらく多くのみなさんご経験の通り、なかなか続けられない!
本書によると、それどころか、基礎代謝量(何もしないでいても生命活動を維持するために使われている最低限必要なエネルギー量)を落としてしまうリスクもある。急激かつ過激な食事制限ダイエットをしてしまうと、体が、いずれまた食事が摂れなくなってしまう事態にそなえて、基礎代謝量を減らし、脂肪を減らすまいと防御機能も高める。ムリして痩せたあと、それほど食べてないにもかかわらず、以前よりも太ってしまったりするケースの原因はこれだったのだ。
「筋肉トレーニング」でも、腹はなかなか凹まない。
“筋肉をつけることと、脂肪を減らすことは分けて考えたほうがいい”とのこと。っていうか、そもそもボディビルダーみたいな腹になりたいわけではないのだ。
「有酸素運動」は、有効である、と書いてある。“有酸素運動は脂肪を落とすという意味で、最も効果的なタイプの運動といえるでしょう”。
ただし欠点もある。有酸素運動では、「部分痩せ」はできない。
「全身まんべんなく」痩せるのだ。“そして、最大の問題は「続くかどうか」です”。
そうなのだ。
この「続けられるか」というのは、大きな問題だ。
ダイエット本や、トレーニング本を読むと、「これだ! これを続ければ、かっこいい体に変身だ!」と興奮しアドレナリン大放出。その勢いで、3日ぐらいはできる。でも、3日じゃ意味ない!
意味ないけど、続かない。

だから、続けられる方法じゃないと、結局効果をあげられない。
で、ドローインの凄いところは、「続けられる!」ところ。
怠惰チャンピオンのぼくでも、ときどきおなかを凹ませるぐらいはできる。
コツは、おなかを凹ませるっていっても、ぎゅーって凹ませすぎて息止めて顔真っ赤にしてやらないこと。
本書に書いてある方法をざっくり紹介すると。
1:背すじをこれ以上は伸びないというところまで伸ばす。背すじを伸ばすことで、おなかの伸びを感じる。
2:肩を後ろに引く。背すじを伸ばしたまま、両肩を軽く後ろに引く。
3:背すじを伸ばし、肩を軽く引いた状態から、より大きくおなかを凹ませる。
腹をもっと凹ませようとすると、肩が上がったり、息が止まったりするけど、それはダメ。ポイントは、肩をあげない。そして息を止めない。
腰に痛みや疲れを感じやすい人は、お尻の穴をきゅっと締める。
肩に力を入れず、おなかを凹ませる。

ぼく自身は、『お腹を凹ませたい? だったら腹筋運動なんかやめちまえ!』のレビューで紹介した「正しい楽な姿勢」をやってから、おなかを凹ませると、とても自然におなかを凹ませることができた。

これ、やりはじめると、ついついやってしまう。やってしまうのが癖になってくる。
2週間ぐらい続けてみたけど、気づくとつい凹ませている。これ、もうちょっと続けると、凹んだ状態が基本形になるんじゃない?って感じである。
いいのは、お腹を凹ませると、ピンとなって姿勢がよくなること。
筋肉が形状記憶ってのは、ほんとうのようだ!

第5章に、タイプ別の痩せ方が紹介されている。
ぼくは、やせてるけど下腹が出てるタイプで、“基本的な対処法は「下腹を凹ませる力をつける」”だったから、この方法で劇的に効果があったのかもしれない。
『腹だけ痩せる技術』は、ていねいに、それぞれのタイプの処方箋や、壁を使って正しい姿勢を覚える方法や、すごい肩と胸板を作る「3段階腕立て伏せ」の方法などが載っている。

とにかく、ひとまず「意識してお腹を凹ませてみるだけ」という方法は超絶気楽で簡単なので、騙されたと思って、みなさんもぜひ試してみてください。オススメ!(米光一成)