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関東連合が唯一制圧できなかった兄弟と、苦悩する親友の物語。瓜田純士『遺書』

2014年5月7日 10時00分 ライター情報:HK(吉岡命・遠藤譲)

『遺書 関東連合崩壊の真実と、ある兄弟の絆』瓜田純士/太田出版
2010年頃から表社会でもメジャーになった関東連合。今年4月、彼らを10代からよく知る人物によるノンフィクションが刊行された。「THE OUTSIDER」にも出場し、JOYの姉を脅迫したとして逮捕されたこともある有名アウトロー、瓜田純士。彼から見た「六本木フラワー事件」の原因は「地元の先輩たち」と「親友」との抗争にある。関東連合が対立しているこの兄弟についての情報は、現時点で最も本書が詳しい。前半はリアル不良漫画の中学時代。抗争が激化する後半の展開は一転して息苦しい。葛藤と後悔が滲み出ている。なお印税は全額、犯罪被害者遺族支援のために寄付するとのこと。

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暴力が人を従わせる絶対的な力であることを、男は、10代で学んだ。

男には、チーマーとの喧嘩のなかで仲間となった「親友」がいた。
中学校のときに世話になった「地元の先輩たち」は、次第に闇社会で影響力を持つようになった。
17歳のとき、男はヤクザになった。刑務所にも入れられた。シャバに戻ると、「地元の先輩たち」は「親友」を本格的に潰そうとしていた。
結果、無関係の男性が殺されてしまった。

男は後悔した。こんなことになる前に、両者を繋ぐことができたかもしれない、と。
今、自分が知るすべてを明かすことで、憎しみの連鎖を終わらせたい。
男は一冊の本を書いた。

それが『遺書 関東連合崩壊の真実と、ある兄弟の絆』である。
著者の瓜田純士は、傷害、脅迫など、数々の事件に関わってきたアウトロー。2013年10月にも路上で刺されており、重傷を負っている。


2012年9月、東京・六本木のクラブ「フラワー」。
「関東連合」の関係者らが、飲食を経営する一般男性を「人違い」で襲撃し、金属バットなどで撲殺するという事件が起きた。
2014年4月までに、本件に関わったとされる15名が逮捕。2013年の一審判決で、うち9名が傷害致死などの罪で懲役8年から15年と告げられた。(4月22日の控訴審判決で3名の被告にそれぞれ2年の減軽/『読売新聞』同日夕刊)
組織のトップであり事件の首謀格とされる見立真一容疑者は、現在も海外に潜伏中と見られている。

2010年の市川海老蔵暴行事件で表社会での知名度が飛躍的に上昇した「関東連合」。
その前後からマスメディアでもさかんに取り上げられるようになり、週刊誌や雑誌などで芸能人との「アブナい」関係が「売れるネタ」として扱われている。
呼応するようにネット上では、「2ちゃんねる」の「アウトロー板」や有志によるwiki形式のサイトで、関連人物や事件の情報がまことしやかに語られてきた。
また、作家の溝口敦が『ヤクザ崩壊 侵食される六代目山口組』(2011年)のなかで「堅気とヤクザの中間的な存在」として「半グレ」という言葉を生み出してから、「関東連合」はその典型例とされることが多かった。

しかし、一部マスコミとネット、そしてときには警察組織までもが互いを情報ソースとして活用したことで、「関東連合」(とされるもの)のイメージは虚実とり混ぜて肥大化していったという側面がある。
結局のところ、正体は長らく謎に包まれていたと言ってよい。

そんな状況のなか2013年7月に刊行されたのが『いびつな絆 関東連合の真実』であった。

ライター情報

HK(吉岡命・遠藤譲)

男子2人組の編集者&ライターユニット。ノンフィクション書評、労働・貧困問題、ネット右翼、炎上検証、突撃ルポなど。お仕事のご依頼はツイッターまで。

URL:Twitter:@HKeditorialroom

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