「写真集のお話はいろいろといただいていましたが、そこに今回の版元でもある早川書房の編集者さんが『BONESー動物の骨格と機能美』というゴツい図鑑を見本に、企画を持ってきてくれたんです。その本が、とても味のある芸術的なもので、コンセプトが決まりました。
ただ『図鑑』じゃダサいから、ローマ字にしようと言ったのは自分です(笑)」

11月14日発売の初写真集『ZUKAN 青木玄徳』について語るのは、被写体である青木玄徳。
2011年、ミュージカル『テニスの王子様2ndシーズン青学VS氷帝』の氷帝学園・跡部景吾役でデビュー。今年、アニメ『まどか☆マギカ』の脚本家・虚淵玄が参加し話題を呼んだ『仮面ライダー鎧武』で仮面ライダーデューク/戦極凌馬を演じ、脚光を浴びた。

■水着で笑顔の写真集は作りたくなかった

撮影は今年の8月、佳境を迎えた『仮面ライダー鎧武』の収録の真っ最中に都内スタジオで丸一日かけて行われた。撮影を手がけたのは海外でも活動する、カメラマンの鈴木光雄。

「自分に自信があるわけでもなかったし、果たしてどんな写真になるのかわからないという畏れもありました。
ただ、水着で笑っているような写真集を作りたくはなかった。鈴木さんには以前にも撮っていただいたので、僕自身を丸ごと託しました。照明の使い方が独特で『撮られる』ことが、映像とはまたちがう不思議な体験でした」

打ち合わせを重ねに重ねて考えたシチュエーションに加え、当日、思いのままに撮ったものまで、その内容は多岐に渡る。

「服を着ている写真もあるし、脱いでいる写真もあります。図鑑なので、あえて指先や唇といった身体のいろいろなパーツだけを大きく撮ったりもしました。静止している姿だけでなくジャンプした動きや、着替えたり髪を結わえるといった日常の所作も収めています。
写真集のために身体を鍛えたので浮いた筋や血管をもうちょっと見せたいと思って、その場の勢いで撮ってもらったカットもあったりと、だいぶコアな世界が繰り広げられています(笑)」

構成も考えた。打合せに、ラフを切って臨んだという。

「できあがった写真を見たときの感想は、これが『今』かあ〜、という客観的な思いでした。なので自分の写真集というよりも、ひとつの作品に自分という素材を使ってもらった感覚でいます。だから構成に関してもこれまで僕が見てきたCDのジャケットや画(え)を例に挙げていきました。写真という媒体で何かを演じることと舞台や映像で役を演じること、そのふたつは確かにちがうことだけれど、ともに伝えるという行為で、集中する、ということだけは一緒でした」

■俳優としての道は跡部景吾から始まった

写真集発売の翌日、11月15日(土)から、跡部景吾として最後の舞台となるドリライこと、ミュージカル『テニスの王子様』コンサート Dream Live 2014が神戸ワールド記念ホールで幕を開ける。
続いて、22日(土)から三日間、過去最高の規模で開催されるさいたまスーパーアリーナ公演をもってキャスト全員、演じた役を卒業する。

「2ndシーズンには僕と、もうひとり跡部景吾を演じた小沼将太くんもいるので、僕らのW跡部を楽しみにしてください(笑)。初写真集を出したことで大きな変化はありませんが、気持ちの区切りはつきました。僕の俳優としてのすべては跡部から始まりました……そのことを、この先より多くの人にもっともっと伝えていけるよう、がんばります。今年で『テニスの王子様』2ndシーズンも終わり、『仮面ライダー鎧武』も終わり、来年は自分の中で、いよいよきたぞ! という作品が待っているので、今からドキドキしています。今は一瞬一瞬を大切に新たなフィールドに立つ気分です」

最後に、写真集の見所を聞いた。


「カラーの写真は一切無く、全ページモノクロです。しかしながら、鈴木さんの技術力でとても良い仕上がりになっていると思います。おもしろい写真が多いし、画として何かを感じさせるページもあるかもしれません。特に後半は鈴木さんのスキル全開です! 写っているのが自分なので大変恐縮ではありますが、良ければぜひご覧ください。僕と鈴木さんだけでなく、関わった人たち全員で描いた世界観を楽しんでください」

(おーちようこ)
講談社プロジェクトアマテラス「舞台男子」