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ミステリ通大絶賛、今年のベストミステリ『その女アレックス』は本当に面白いのか

2014年12月12日 10時50分

ライター情報:米光一成

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『その女アレックス』ピエール・ルメートル著/橘明美訳(文春文庫) 今年のミステリランキング1位を独占。

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『その女アレックス』が「史上初の6冠達成!」で話題になっている。
宝島社のムック「このミステリーがすごい!2015」の海外部門第1位
「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第1位
『ハヤカワ ミステリマガジン』「ミステリが読みたい!」海外編第1位
「IN☆POCKET文庫翻訳ミステリー・ベスト10」第1位、
さらに英国の「英国推理作家協会 インターナショナル・ダガー賞」、フランスの「リーヴル・ド・ポッシュ読書賞」を受賞。
ミステリ小説をたくさん読む人たちが大絶賛する『その女アレックス』は、本当におもしろいだろうか?

ここで警告。
ネタバレはしない。
が、
帯に書いてあるようなことや、他のベスト10で書かれたコメントにあるようなレベルのことは書く。
『その女アレックス』を読むなら、まったく何も知らないまっさらな状態で読むのが一番楽しいと思う。
ネタバレはしない。
しないけど、もう買ってて、「これから読むよ!」という人は以下を読まずにいきなり本を開くのがベストだ。

というわけで、書く。

ぼくが買った文庫本の帯にはこう書いてあった。
「あなたの予想はすべて裏切られる!」
「慟哭と戦慄の大逆転サスペンス」
「大反響! たちまち増刷!」
「絶賛の声、続々!! 詳細は帯ウラを参照」
帯ウラを見ると、
「ミステリーの通たちから驚愕と絶賛の声!」
「緊張感に溢れ、攻防から目が離せなくなる」−池上冬樹(文芸評論家)
「衝撃度はまず半端ではない」−関口苑生(文芸評論家)
「二転三転の展開と驚愕の結末が実に魅力的」−権田萬治(文芸評論家)
「近年でもっとも独創的」−オットー・ベンズラー(文芸評論家)

すごい絶賛である。

若い女アレックスが誘拐される。目撃者の証言を受けて警察が捜査に乗り出す。
拉致されたアレックス側と捜査する警察側、短い章立てで交互に描かれる。
男はなぜアレックスを木箱に閉じ込めたのか?
アレックスが殺される前に助けられるのか?
いきなりサスペンスフルな渦中に読者は投げ込まれる。
ところが……。

評判を聞きいて読んだ友達は「べつにそんなに驚かなかった、どんでん返したいしたことないよ」と言うのだ。
そう。
帯の文言、実は「どんでん返し」とは書いてない。
「どんでん返し」という言葉が想起させる「ラストで事態が大反転する!」という話ではない。
『ダ・ヴィンチ・コード』とか『ボーンコレクター』みたいなギャクテーンぎゃくてーんまたギャクテーンってのとは違うテイスト。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

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