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ティラノサウルスはモフモフだったのか、ツルツルだったのか。恐竜の毛問題を考察する

2015年8月5日 10時00分

ライター情報:近藤正高

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夏休みに入った子供たちを主なターゲットとして、現在、各地の博物館などでは恐竜や大昔の生物に関する展覧会が催されている(たとえば東京・上野の国立科学博物館ではNHKスペシャルと連動して「生命大躍進」展が開催中)。書店でも恐竜の図鑑など関連書が目立つ場所に平積みになっているのをよく見かける。

恐竜の図鑑と一口に言っても、監修者や制作サイドなどの主張や好みによって、そこに収載されたイラストや記述はけっこう異なる。たとえば、約7000万年前に地球上に君臨した「史上最強の肉食恐竜」とも呼ばれるティラノサウルス(正式な名前はティラノサウルス・レックス)について、ある観点から4種類の学習図鑑を比較してみたところ、次のように真っ二つに分かれた。

『講談社の動く図鑑MOVE 恐竜』……生えていない
『ポプラディア大図鑑WONDA 恐竜』……生えている
『小学館の図鑑NEO 「新版」恐竜』……生えていない
『学研の図鑑LIVE 恐竜』……生えている

いったい何が「生えていない」もしくは「生えている」のか? ピンと来た人もいるだろうが、答えは「ティラノサウルスの羽毛」である。

図鑑によってティラノサウルスの想像図が違うのはなぜ?


トカゲやワニと同じ爬虫類であるはずの恐竜になぜ羽毛が生えているのか? と思う人も、とくに年長世代には多いかもしれない。しかし、ここ20年ほどの発掘調査・研究によってある種の恐竜には羽毛が生えていたことがあきらかとなっている。
『ポプラディア大図鑑WONDA 恐竜』。表紙カバーでもティラノサウルスは羽毛をもった姿で描かれている

もっとも、ティラノサウルス自体に羽毛が生えていたのかどうかとなると、まだ見解が分かれる。先にあげたとおり図鑑によって違いがあるのはそのためだ。

ティラノサウルスに羽毛が生えていたという説はそもそも、2004年に中国で「ディロング」というティラノサウルスの先祖(約1億2800万年前に生息)にあたる恐竜のほぼ全身の骨格が発見されたことに端を発する。その体の一部に羽毛と思われる繊維状の構造が確認できたのだ。上記の図鑑のうち『ポプラディア大図鑑WONDA』(ポプラ社、2013年)ではこの発見を根拠に、カバーや本文に描かれたティラノサウルス自体の想像図にもその背中に羽毛が生やされている。

ただ、ディロングの全長は1.6メートルと、12メートルもの巨大な体を持つティラノサウルスとくらべるとはるかに小型である。小さな恐竜というのは、体の表面積も小さいので熱が逃げやすい。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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