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甲子園「神実況」が解説する高校野球の観戦術

2015年8月16日 10時50分

ライター情報:オグマナオト

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ある人は「神実況」と呼び、またある人は「甲子園の声」と呼ぶ。

松坂大輔と横浜高校が奇跡的な逆転劇を演じた98年の対明徳義塾戦も、
2004年夏、駒大苫小牧が初めて優勝旗を北の大地にもたらした瞬間も、
がばい旋風が吹き荒れた2007年夏、佐賀北vs.広陵の伝説の決勝戦も、
この人の声が甲子園球場とお茶の間をつなぎ、
高校野球というドラマを完成させた。

NHKの名物アナ、小野塚康之アナウンサーの実況は、
今年も、甲子園大会の魅力を存分に伝えてくれている。

小野塚アナが解説する甲子園の魅力


小野塚アナの今夏初登板は大会2日目第4試合。こんな第一声で始まった。
「第4試合というのは数々の名場面も歴史の中では描いてきています。箕島と星稜の延長18回も、カクテルライトの中での戦いでした。これから、日は沈んでいきます」。

「高校野球100年」の節目の年だからこそ、過去の名場面とのオーバーラップで「今」を紡ぎ出す……いまどき、こんな詩的な情景描写が似合うのはこの人くらいだ。

そんな小野塚アナが本を出した。
『甲子園「観戦力」をツーレツに高める本』
『甲子園「観戦力」をツーレツに高める本』小野塚康之著/中公新書ラクレ

小野塚節を語る上で外せない「ツーレツ」(本当は「トゥーレツーーー」としたかったんじゃなかろうか?)を込めたタイトルは、高校野球ファンであればきっとニヤニヤできるに違いない。

本書には、甲子園観戦を楽しむ上でぜひとも押さえておきたい歴代アイドル球児や怪物たち、名物監督、打順ごとの打者の役割などが、「実況席視点」でまとめられている。小野塚アナの口調よろしく、リズミカルな文体は読んでいて心地よい。

だが、一番楽しいのは、甲子園の語り部・小野塚アナがどのような視点で野球を見ているのか。そして、どんな心構えで放送に臨んでいるのか、という「声の制作背景」も描かれている点だ。

《私は打った結果、投げた結果だけを捉えてどうなったかと伝えるのが実況中継だとは思っていない。投げる前や打つ前に、あるいは打ちにいく、投げ始める動作の中でいち早く何かを見つけたり感じ取ったりして結果につながる体の動きの特徴や傾向を描写できないものかと考えている》

こうした実況アナの矜持を守るための解説者との掛け合いや取材でのポイントなど、高校野球ファン、小野塚ファンにはたまらない内容になっている。

野球は、過去よりも今、これから行われることが面白い


たとえば、冒頭でも記した佐賀北対広陵戦での逆転満塁ホームランのシーン。小野塚実況の代名詞ともいうべき、「あり得る最も可能性の小さい、そんなシーンが現実でーす」という名フレーズはいかにして生まれたのか。

ライター情報

オグマナオト

福島県出身。『週刊野球太郎』『web R25』を中心にスポーツネタ、野球コラムを寄稿。構成した本に『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』『福島のおきて』など。

URL:Twitter:@oguman1977

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