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大陸を黒く染める『デスメタルアフリカ 暗黒大陸の暗黒音楽』これはヤバイ

2015年9月29日 08時50分

ライター情報:辻本力

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日本、インド、中国、インドネシア、イスラエル、アラブ首長国連邦と、世界のヘヴィメタル事情を取材した『グローバル・メタル』(08年、カナダ)なんてドキュメンタリー映画があるように、メタルはいまやグローバルな音楽ジャンルの1つとして確固たる地位を築いている。
世界過激音楽Vol.1『デスメタルアフリカ 暗黒大陸の暗黒音楽』(ハマザキカク著、パブリブ)

ゆえに、メタルバンドとそのファンは、世界中のあらゆる場所にいる。しかし中には、メタルをまったくイメージさせない国もまたある。おそらくその代表格といっていいのがアフリカだろう。その理由を考えるに、「現代のブラックミュージック=ヒップホップ」というイメージが強いこと、それから黒人がメンバーにいるメタルバンドが圧倒的に少ないことなどが挙げられる。ぱっと思いつくところで、ベテランB級スラッシュメタルバンドHiraxとか、「黒いアイオミ」の異名を持つ黒人ギタリストを擁するドゥームメタルバンドIron Manとか、カルトなブラックメタルバンドBlasphemyとか……その程度である(知識不足)。

しかし、世界は広い。「アフリカにだってメタルバンドはいるぞ!」と高々に宣言する一冊のガイド本によって、その偏見を改めることとなった。

メタルのグローバル化を促したインターネット


『デスメタルアフリカ 暗黒大陸の暗黒音楽』は、文字通りアフリカのメタル事情についてまとめた本である。本書によれば、特に2000年代中盤以降、サブサハラ諸国の資源バブルに伴い、アフリカのメタルシーンも活気を帯び始めたという。

とはいえ、著者のハマザキカクによれば、アフリカのメタルをめぐる状況は、決して活況というわけではないようだ。

未だに欧米や他の地域に比べても、アフリカ出身のメタルバンドは少なく、一つもバンドが存在しない国の方が多い。またあまりにお粗末過ぎて、メタルとしてカウントしていいのか、微妙なバンドも多い。(中略)アフリカのメタルはまだ始まったばかりなのだ。

そんな状況ゆえか、バンドの来歴や現在などに関する情報も圧倒的に少ない。著者は、取材に際してインターネットをフル活用したそうだ。

これは、前述の映画『グローバル・メタル』でも語られていたことだが、貧しかったり流通がなかったり、あるいは政治/宗教的な理由からメタルを聴くことの叶わなかった国々の若者たちを救ったのもインターネットだったことに通じる。そして、ネットの誕生は、言うまでもなく作り手にとっても大きな変化であった。

現在、先進国のバンド新作を発表する際、プロモーショナル(原文ママ)として、まずインターネットで配信するのが主流になってきている。

ライター情報

辻本力

編集者・ライター。〈生活と想像力〉をめぐる“ある種の”ライフスタイル・マガジン『生活考察』編集発行。企画立案からインタビューまで、いろいろやります。

URL:「生活考察」編集日記

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