水を差すようで申し訳ないが、「トリプルスリー」は近い将来、それが何を意味する言葉なのか忘れ去られてしまう運命にあると思う。とはいえ、新語・流行語大賞はあくまでショーであり、マン・オブ・ザ・イヤーという性格を持っていると考えれば(実際にそういうことをある審査員経験者が語っていた)、今回の年間大賞は、「トリプルスリー」で“人物”に、「爆買い」で“言葉”に贈ることでバランスをとったともとれなくもない。
「安心して下さい~」授賞の理由はその汎用性か
毎年、候補語が発表されるたびに、「あれが入っていない」「そもそもここに選ばれたのは本当に流行した言葉なのか」と文句をつけられがちな新語・流行語大賞だが、今年はいつになくそうした声が方々から聞かれた印象がある。とりわけ安保関連法案をめぐる関連語が多数候補に入ったことは賛否両論を呼んだ。
今年にかぎらずここ数年の新語・流行語大賞では、「特定秘密保護法」(2013年トップテン)、「集団的自衛権」(2014年トップテン)といった語が選ばれており、それによって時の政権に自重を促そうという姿勢が垣間見える。ここにはおそらく、かつて毎年のように有力政治家に賞が贈られ、彼らの格好のPRの場となっていたこと(そのピークは、当時の小泉純一郎首相が「米百俵」など6語で年間大賞を受賞した2001年だろう)への反省が選考する側にあるのではないだろうか。フタを開けてみれば、今年は「アベ政治を許さない」「SEALDs」、それから「一億総活躍社会」が政治関連の言葉としてトップテン入りした。
お笑い関係では、この賞に選ばれた芸人は一発屋に終わるとのジンクスもあるが、「あったかいんだから」「ラッスンゴレライ」を押さえて、とにかく明るい安村の「安心して下さい、穿いてますよ」が受賞した。「安心して下さい」のあとのフレーズを改変してどんな場面でも使える汎用性の高さからすれば妥当な選考だろう。
今回のトップテンでいま一つ目を惹いたのは、「五郎丸(ポーズ)」だ。文字や音声ではなく身体で表現される“言葉”が受賞したのはけっこう画期的ではないだろうか。…


















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