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日本人は障害者に慣れていない『パーフェクトワールド』

2016年3月12日 09時50分

ライター情報:松澤夏織

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漫画『パーフェクトワールド』の3巻が発売された。脊髄を損傷し車椅子になった初恋の男性との恋愛を描いた少女漫画だ。作者である漫画家の有賀リエさんと、有賀さんが連載当初から取材している建築士の阿部一雄さん。二人に話をうかがった。
『パーフェクトワールド』有賀リエ(講談社刊/「Kiss」にて連載中)

視線は注がれる


――今年の4月から「障害者差別解消法」が施行され、障害を持つ人への差別的行為をした会社や店舗が行政から注意を受けたり改善報告の義務が発生するようになります。阿部さんはどのような時に差別を感じますか?
阿部一雄(以下阿部) 小規模の飲食店に行くと、今でも「車椅子お断り」とハッキリ言う店主さんはまだまだいます。店が狭いからとか、他のお客さんに迷惑がかかると言うことですね。舌打ちする人もたまにいます。日本は大きいお店やホテルはバリアフリーが進んでいるけれど、小さな店は予算やビルの設備の問題で出来ないところがほとんどです。
有賀リエ(以下有賀) 私はこの漫画で樹(いつき)という子を描くようになってから、街の段差にすごく敏感になりました。テレビを見て良いなというお店があっても、段差があると行けないなって。家族に車椅子の人がいる感覚です。
阿部 僕も段差はすごく気になります。たった一段あるだけで上がれないので、事前に調べてなるべく段差のないところを探します。この前、夜遅くに池袋駅に行ったらエレベーターが見つからなくてとても困りました。有賀さんは池袋駅のエレベーターの場所ってわかりますか?
有賀 いえ、わからないですね…。
阿部 実は夜使えるものは1つだけで、それ以外はデパートにつながっていて、お店が閉まってしまうと使えない。しかも場所がとってもわかりにくいところにあって、駅員さんに聞いたりして40分さ迷いました。
有賀 駅員さんは持ち場を離れられないですもんね。
阿部 人に声をかけて上げてもらうという方法もあるにはあるんです。でも大きな荷物を膝に載せていたりするとやっぱり頼みにくいですよね。
有賀 そういう気持ちはいつまでも変わらないですか?
阿部 全然変わりません。人の視線も気になりますしね。1巻で樹がつぐみとデートした時、つぐみが周囲の人から向けられる視線に戸惑っていましたよね。すごくリアルだと思いました。車椅子になってはじめて外出した時、電車を降りた瞬間に皆が僕と奥さんを見たんです。ジロジロ見る差別的な目とか興味本位の目じゃなく、スッと視線がいくという感じなのですが、「なんで皆見るのだろう。

ライター情報

松澤夏織

元印刷会社OL、現ライター兼編集アシスタント。ムック本の執筆、WEBメディアの取材・構成など。趣味は漫画とアニメとロードバイク。月間900km爆走する体育会系。

URL:Twitter:@natsumatsuri728

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