2月22日に発売された、ソニー・コンピュータエンタテインメントの新型ゲーム機「プレイステーション 4」。グラフィックがキレイになったとか、PS Vitaと連携すればリモートプレイでどこでもゲームが遊べるとか、PS3との違いはいろいろある。
でも、どこが一番スゴイかと聞かれたら僕はこう答えたい。

「ゲーム実況機能がすごい!」

PS4の最大の特徴は、コントローラに新しく付いた「シェアボタン」だ。これをポンと押すだけで、誰でもすぐに自分のゲームプレイをネットで配信することができる。顔出し/顔なし、声あり/声なしも自由に選択可能。今はTwitchとUstreamしか選べないが、春ごろをめどにニコニコ生放送にも対応する。

配信中の動画はPS4からも見れるし、PCからも見ることができる。
友達に見せたかったら、FacebookとTwitterに投稿するチェックを入れておこう。さっそく本体同梱のゲーム「ナック」で遊んでみると、日曜の昼間でだいたい20〜30人くらいが見にきてくれた。視聴者のコメントは画面下に表示されており、Twitterから見に来た知人が「回避がヘタ」だの「右スティックが使えていない」だのと好き放題書いている。うるせえ! まったく読めないけどフランス語のコメントもあったのでとりあえず「メルシー」と言っておいた。なんだこりゃ、でも楽しいぞ。

「生配信」だけでなく、Facebookにスーパープレイ動画をアップロードしたり、Twitterにスクリーンショットを投稿したりもできる。
PS4ではプレイ中、バックグラウンドで「最新の15分間」を常に録画し続けていて、「今のシーン、よかったな」と思ったら、シェアボタンを押せば15分前までさかのぼって動画を投稿できる。バケモノのようなマシンパワーを持つPS4だからできる、ぜいたくなスペックの使い方だ。


●配信が「当たり前」の遊び方

僕が子どもの頃は、ゲームはみんなで集まって遊ぶものだった。誰かの家に集まって、みんなでワイワイ野次を飛ばしながら遊ぶ。コントローラを握っているのは1人でも、誰かと一緒に遊ぶゲームはそれだけで楽しい。「ヘタクソ!」「うるせー!」視聴者とのそんなやりとりが、なんだか無性に懐かしかった。


これまではゲーム動画をネットで配信しようと思ったら、まず配信用のPCを用意して、それからゲームの画面を取り込むためのキャプチャボードを買って、さらに専用のキャプチャソフトを入れて、動画のエンコードについて勉強して……とものすごくたくさんのハードルを越えなければならなかった。ある調査によると、動画サービス利用者のうち、ニコニコ動画での投稿・配信経験がある人は全体のわずか5.6%だったそうだ。かなり身近になったとは言え、一般ユーザーにとって「動画配信」のハードルはまだまだ高い。

ところが、PS4ならこのややこしい過程を全部すっ飛ばしていきなり配信ができてしまう。最初にTwitchかUstreamのアカウント設定だけしておけば、あとはシェアボタンを押すだけ。買った瞬間から、誰でもすぐに「生主」の仲間入りだ。


もうひとつすばらしいのは、面倒な「著作権」問題があらかじめクリアされていることだ。PS4のシェア機能は公式に提供しているものだし、ゲーム会社側も重大なネタバレシーンなどには配信制限をかけることができる。これまでは勝手にゲームの動画を投稿・配信するのは限りなくグレーだったが、PS4だったら、例えば僕のような社会人でも堂々と動画配信ができる。グレーからホワイトへ。この違いは、実はものすごく大きい。

ゲーム実況の人気については、今さら説明するまでもないだろう。
でも「見る」楽しさは知っていても「配信」する楽しさを知っている人はまだまだ少ないんじゃないか。PS4を買ったら、怖がらずにまずシェアボタンを押してみてほしい。マルチプレイとはまた違った“誰かと一緒に遊ぶ・見る”楽しさ。これが当たり前になったとき、どんな新しいゲームがこれから出てくるのか、今はまだ想像もつかない。
(池谷勇人)