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宮崎駿引退会見の真相を探る

2013年9月5日 11時00分

ライター情報:米光一成

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『風に吹かれて』(鈴木敏夫/中央公論新社)
渋谷陽一による鈴木敏夫プロデューサーインタビュー。鈴木敏夫から見た宮崎駿監督、高畑勲監督がめちゃくちゃ楽しい。この三人の青春記であり、プロデューサーと監督の死闘の記録でもある。オススメ。

「『風立ちぬ』を最後に宮崎駿監督は引退することを決めました」
スタジオジブリの星野康二社長が、第70回ベネチア国際映画祭公式会見で発言した。
しかも、9月6日に記者会見をすることになっている。
14時からニコニコ生放送でネット生中継される。
また、日本テレビ「金曜ロードSHOW!」は、急遽「紅の豚」にプログラムを変更。
宮崎駿監督が引退する!?
とはいえ、ファンにとっては「またか」ではある。
宮崎駿監督は、たびたび引退すると言っている印象がある。

たとえば、2002年、筑紫哲也がインタビューのときにこう言っている。
「宮崎さんに会うたびに、映画を作るのはこれで最後だ、最後だと聞いてきたけど、次の作品の話をしてるみたいですね」宮崎駿『折り返し点』P286)

そうなのだ。宮崎駿監督は「これが最後だ、もう作らない」というような発言を繰り返している。
1984年、ロマンアルバム『風の谷のナウシカ』に掲載されたインタビューでこう言っている。
「いまはボケてますからね、何もやりたくないと思うばっかりで……ロマンアルバムの表紙も描いてないし(大爆笑)」宮崎駿『出発点』P476)

鈴木敏夫プロデューサーの証言。
「『風の谷のナウシカ』が完成した時、宮崎駿は「もう二度と監督はやらない。友達を失うのはもう嫌だ」と宣言しました」『ジブリの教科書2天空の城ラピュタ』P48)
『風の谷のナウシカ』が完成して、制作会社トップクラフトに元からいたスタッフが辞表を出す事件が起きるのだ。
「トップクラフトは、『ナウシカ』をつくることによって実質的には消滅してしまいました。…そういうことでいうと、やっぱり作品づくりっていうのはそういう厳しいものなんだなっていうことを思い知らされました」鈴木敏夫『風に吹かれて』P119)

もう少し宮崎駿監督の「もう作れない」発言を追ってみよう。

『魔女の宅急便』の完成直前、漫画家ささやななえとの対談で。
「監督業としても、本人がやる気になっても、僕もあと一本できるかどうか、自信がありません」『キネマ旬報1989年8月上旬号』P47)

『もののけ姫』に関する質問の最後に、「今後、何か新しいプロジェクトは考えてらっしゃいますか?」と問われて。
「考えていますけど、自分の体力と相談しながら「お前、まだ出来るのか?」って自分に聞かなきゃならないですからね。でも歳をとればとるほど、本当はどんどん出来なくなっていくはずなのに、どんどんやりたくなる(笑)。

ライター情報

米光一成

ゲーム作家/ライター/デジタルハリウッド大学客員教授。代表作「ぷよぷよ」「BAROQUE」「想像と言葉」等。

URL:Twitter:@yonemitsu

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