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朝ドラ「ごちそうさん」異例の向田邦子賞受賞。“物を食らう物語”であり“理系の血筋”の物語であった

2014年4月3日 10時00分 ライター情報:近藤正高
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『ごちそうさんメモリアルブック』(NHKウイークリーステラ臨時増刊4月29日号)
「ごちそうさん」の全放送を振り返るメモリアルブック。熱心に見ていた者としては、この本でおさらいをしたいところ。

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すぐれたテレビドラマの脚本と作家を選ぶ第32回向田邦子賞がきのう(4月2日)発表された。受賞が決まったのはNHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」の森下佳子。朝ドラ作品の受賞は、第20回(2001年度)の「ちゅらさん」の岡田惠和以来ということになるが、放送終了から賞の選考会まで1週間も経っていない作品が選ばれるのは(脚本はそれ以前に完結していたとはいえ)きわめて珍しいのではないだろうか。ついでにいえば、現在放送中の朝ドラ「花子とアン」の脚本を担当する中園ミホは昨年の向田賞受賞者(受賞作は「はつ恋」「ドクターX~外科医・大門未知子~」)である。

さて、「ごちそうさん」を初回からずっと見続けてきた私だが、3月29日放送の最終回はあいにくオンタイムで見ることがかなわず、ようやく今週に入ってNHKオンデマンドで視聴した。それも「笑っていいとも!」のグランドフィナーレを見たあとという、よいのか悪いのかわからないタイミングで。「いいとも!」では泣かなかった私も、「ごちそうさん」にはつい涙がこみあげてきた。

自己弁護しておくと、これは物語の展開からいって、ずっと見てきたのに泣かないほうがおかしいのである。朝ドラの最終週というと、主な事件はたいてい解決していて、ほとんど後日談みたいなもので終わる作品も少なくないが、「ごちそうさん」は最後の最後まで緊張感を保って、最終回でドカンとクライマックスが来るという、あまりないパターンだった。それだけに、見ているほうとしても、いままで堪えていたものが一気に放出される結果になったわけだ。

それにしても、放送開始前、「ごちそうさん」には正直いってあまり期待はしていなかった。あの社会現象となり、自分もどっぷりハマった「あまちゃん」のあとということもあるが、主演が杏というすでに十分色のついた女優だったというのも大きい。それでも、いざドラマが始まり、ヒロイン・め以子が成長して子役から杏が演じるようになったときには、すっかり話の展開に目が離せなくなっていた。

これは、私の友人が以前から指摘していたことだが、杏は下町のきっぷのいい姉さんキャラを演じると上手い(近年の「妖怪人間ベム」のベラ、大河ドラマ「平清盛」における北条政子の役などもその延長線上にあるといえる)。その意味では、今回の役はまさにどんぴしゃであったわけである。もちろん、「ごちそうさん」の魅力は、ヒロインばかりにあるのではない。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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