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「あさが来た」ピストル薩摩藩士五代友厚は、大阪で何をしていたのか

2015年10月5日 10時50分 ライター情報:近藤正高
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先週よりNHKで放送が始まった連続テレビ小説「あさが来た」は、明治から大正にかけて活躍した実業家・広岡浅子の生涯を下敷きにしている。もっとも、波瑠演じるヒロイン・今井(のち白岡)あさは、名前が変えられていることからもうかがえるように、あくまで架空の人物。ドラマは事実あるいは原案となる古川智映子『小説 土佐堀川――広岡浅子の生涯』の内容を踏まえながらも、かなり脚色されている。
古川智映子『小説 土佐堀川』。9月末より始まったNHK連続テレビ小説「あさが来た」の原案となる伝記小説

そのなかにあってほぼ唯一、実名で登場する歴史上の人物がいる。それがディーン・フジオカ演じる五代才助、のちの五代友厚(1835~85)だ。あさと深くかかわることになるであろう五代は、第1週にさっそく登場した。

あさと五代と最初の接触は、京の両替商の娘であるあさが父に連れられて大阪(当時の表記では大坂)へ許婿に会いに行ったときのこと(9月30日放送の第3話)。初めて訪れる大阪の街にはしゃいで一人駆け出したあさは、逆方向から走ってきた若いさむらいとぶつかってしまう。そのさむらいこそ五代だった。その際、五代の持っていたピストルがあさの着物の袖のなかに入ってしまう。やがてそのことに気づいた五代があさを追いかけまわすという、とんだ初対面だった。

このあと、五代はピストルを奪い返し、そのまま立ち去ろうとするのだが、あさはどうにも釈然としない。そこでふたたび五代の前に立ちはだかり、「勝手にぶつかってきて追いかけてきて、何やベタベタ触ったうえにそのまま何も言わずに逃げてしまうなんて、それが日本男児のすることですか」と啖呵を切る。

商家の娘が武家に物言いするとは当時としては無謀だが、五代は14歳も下のあさを怒るどころか「もっともな言い分じゃ」と感心し、素直に謝るのだった。この場面からは五代が、たとえ相手が少女であろうと、筋が通っていればその言い分を受け入れる柔軟な考えの持ち主であることがうまく表現されていた。

それにしても、あさとぶつかったとき五代は何をあわてて走っていたのか。彼のセリフによれば「人に追われとったじゃ。それに上海行きで気がせいておったのかもしれん」というのだが……。

長崎にいたはずの五代が大阪に来た理由


ここであらためて確認しておくと、劇中であさと五代が遭遇したのは1861年(文久元年)のことだった。ペリー来航から8年後、その前年の1860年(万延元年)には、開国して諸外国との交易を推し進めていた江戸幕府大老の井伊直弼が、水戸浪士らに暗殺されている(桜田門外の変)。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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