10月16日(金)10時 からTBSにて放送開始される金曜ドラマ「コウノドリ」(原作・鈴ノ木ユウ、脚本・山本むつみ)の第1話試写会が7日(水)、六本木ヒルズで行われた。
原作は、「モーニング」(講談社)にて連載中で、単行本の発行部数は累計150万部を超える人気漫画。

産婦人科という命の誕生に携わる現場で働く人々の姿を描いた物語で、主人公の産婦人科医・鴻鳥サクラを人気俳優・綾野剛が演じる。綾野にとってこれが連続ドラマ単独初主演作となる。
新ドラマ「コウノドリ」会見ルポ。綾野剛、星野源、松岡茉優、周産期医療を語る
左から、吉田、大森、綾野、松岡、星野 後ろで盛り上がっているのは医療従事者の皆さん

医療現場の最前線の声


今回の試写は医療従事者限定で、試写終了後の会見も事前に彼らから出た質問が、綾野と共演者たち(松岡茉優、吉田羊、星野源、大森南朋)に投げかけられた。
ドラマは、日本産婦人科学会の協力を得て、現場の最前線の声を聴き、今後、厚生労働省とのさまざまな取り組みをしていく予定で、出産という出来事に真摯に向き合いながら制作されているのが、俳優たちの語りからも伝わってきた。
まず「このドラマにかかわる前後で出産や周産期医療(妊娠22週から生後満7日未満までの期間、母体や胎児や新生児に対する医療)に対するイメージが変わったか、演じる上で難しかった事はあるか」という質問に綾野は「ふだん生活してるなかで、妊婦さんやお子さんといっしょにいるお母さんのことが必要以上に気になるようになった。友人などに妊婦がいると、(会話が)ふつうに検診しているみたいになってしまう」と語り、「例えば安定期は決して安全な時期ではないよって注意する」と言うと観客から拍手が。
新ドラマ「コウノドリ」会見ルポ。綾野剛、星野源、松岡茉優、周産期医療を語る
綾野は患者の信頼厚い、人情家の産婦人科医役

さらに綾野は「男性は(出産に関して)認識をもつべき」と続け、その根拠は「(男は)種をまく人種であって」と言って観客の爆笑を呼んだあと、「そのぶん、寄り添う必要がある」と熱弁。

綾野演じるサクラの同期でありライバル・四宮春樹役・星野源も、「電車のなかで赤ちゃんが泣いているのを見てもすごくうれしくてうれしくてしょうがなくて、泣きそうになります。このドラマを見て、そういう思いを抱く男のひとが増えてほしい」と語り、ふたりが所属する新生児科の部長であり周産期センターのセンター長役・今橋貴之役の大森南朋は「子供がまだいないが、撮影現場で生まれたてのお子さんがいるのを見て、心底かわいいって思っている。顔には出てないかもしれないが、ああ、かわいい、って思っていて。自分にまだそんな気持ちがあったことに感動しました」と語るなど、男性陣は出産について認識を深めているようだ。
女性陣は女性陣で、産婦人科研修医・下屋加江役の松岡茉優は「いま、二十歳で、同世代と子供のことをはなすと夢見がちだったが、軽々しく(子供欲しいと)言えなくなった」と、ベテラン助産婦役の吉田羊は「お産は手放して喜ばしいものだけでなく、時として命の危険や悲しみも伴うもの。『周産期医療』とははじめて知った言葉。
このドラマをきっかけに、システムが整った病院が増えることを願ってやみません」とこれまた神妙な様子。松岡にいたっては風疹の予防接種を受けてない世代なので不安になったとまで。
新ドラマ「コウノドリ」会見ルポ。綾野剛、星野源、松岡茉優、周産期医療を語る
クールだが腕はいい産婦人科医を演じる星野源

もし自分が妊娠した際には


確かに、1話から、出産の困難さ(危険さも含め)、それを乗り越えて誕生する命の尊さがひしひしと伝わってきたので、彼らの発言にもナットク。
こんなふうに概ね、真摯な会見ではあったが、時々笑いも。例えばーー。
綾野「(ふいに)ママってよばれたい?」
松岡「え?」
綾野「呼ばれたくならなかった? (子供が生まれることが)なんかすごいことだなって思って」
松岡「(綾野に)パパ(笑)」
星野「違う意味になっちゃう(笑)」
(一同爆笑)
こんな一幕もあった。


また、星野が真面目に「(自分の役は一見冷酷に見えるが)産科医のみなさんのなかの不安やプレッシャーの集合体なんじゃないかと思っている(中略)。(いろいろな大変なことを)すべて背負ってしまったら四宮のようになってしまうかもしれないと思うようになりました」と役を説明した後の会話はこんなだった。
星野「もし自分が妊娠した際には・・・」
松岡「ん?」
星野「そういう先生がいてもーー」
綾野「なるほどね」
星野「すごくあたたかく迎えいれられると思います」
綾野「わかるかも。おれも妊娠したときそういう可能性があると思う」
(一同爆笑)

さらには、
「(お話を聞いた産科医の方に)かっこよくあまりしないでと言われた」と星野が言うと、「それはすごく印象にあった」と松岡が同意して、「でも、カイザーとか、かっこ付けたいシーンありますよね」とふると、綾野が
少し決め口調で「メス」と言って、またまた会場を沸かせた。
「さすがの連携プレー」と司会が賞賛するくらい、かなりいい感じに出来上がった共演者たちによって、
「コウノドリ」は臨場感あるドラマになりそうだ。
新ドラマ「コウノドリ」会見ルポ。綾野剛、星野源、松岡茉優、周産期医療を語る
出産を大いにリスペクトする俳優陣

「緊急救命医療のバタバタした感じとは違い、産婦人科はまとっている空気が非常に柔らかい。
その空気を出していきたい」と言う大森の言葉が印象的。これまでの医療ものとはまた違った、新しい命の放つ力に心を掴まれそうだ。
10月16日(金)10時 から放送の第1話は、未受診妊婦(清水富美加)にまつわる物語。15分拡大で放送。
綾野演じる主人公は、産婦人科医の顔のほかに、謎の天才ピアニストの顔ももっている。登場人物の裏に隠された別の顔も楽しみのひとつになりそう。

(木俣冬)