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本日スタート、松尾スズキ主演の型破り時代劇「ちかえもん」近松門左衛門の謎を検証

2016年1月14日 10時00分

ライター情報:近藤正高

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NHK総合の木曜時代劇(木曜よる8時~)の新シリーズ「ちかえもん」が今夜から始まる。ドラマの主人公は近松門左衛門(1653~1724)。言わずと知れた江戸時代前期に活躍した浄瑠璃・歌舞伎作者を、現代の劇作家・松尾スズキが演じる。

ドラマの舞台となるのは元禄16年(1703)の大坂、近松が数えで51歳のときだ。徳川幕府成立からちょうど100年、いわゆる元禄文化の時代だが、同時代の文人として近松とともによく名前をあげられる井原西鶴(1642~93)も松尾芭蕉(1644~94)も当時すでにこの世にいない。しかし彼らより10歳ほど年下の近松は50歳を越えてなお、いやむしろこのあとにこそ多くの傑作を残している。まさにこの年、近松は大坂の竹本座のために書いた浄瑠璃『曾根崎心中』で大当たりをとり、浄瑠璃作者として全盛期を迎えようとしていた。
『新潮古典文学アルバム 近松門左衛門』。近松の人と作品についてコンパクトにまとめられていてわかりやすい

今回のドラマでは、この『曾根崎心中』を書く直前、極度のスランプに陥っていた近松が、万吉という謎の渡世人(青木崇高)との出会いを機に状況を打開していくという。万吉とのかかわりはもちろんフィクションだが、じつのところ、この時期を含め近松の前半生には不明なところが少なくない。だからこそ想像の余地があるといえるが、ドラマ開始にあたって、現実の近松門左衛門をめぐる謎をいくつか紹介してみたい。

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近松には、その生い立ちからして謎がつきまとう。出生地は父親が越前・吉江藩の藩士であったことから福井とほぼ確定しているものの、これまで長門(山口)・山城(京都)・近江(滋賀)などさまざまな説が伝えられてきた。ちなみに本名は杉森信盛という。筆名である近松門左衛門の由来をめぐっても諸説あり、いまだに定説はない。

藩士だった父だが、その後近松が10代半ばのころ、吉江藩を去って浪人となり、一家ともども当時の都である京に移り住む。青年近松は20歳前後の時期には公家に仕え、やがて浄瑠璃の太夫・宇治加賀掾(うじかがのじょう。1635~1711)のもとで修業を始めたとされる。加賀掾とは、その家に公家の使いで出入りするうちにつながりができたともいわれるが、入門までの経緯はこれまたつまびらかではない。いずれにせよ、武士という身分を捨てて芝居の世界に飛びこんだのは、この時代においてはかなり思い切った決断であったことは間違いない。

近松の名が世に知られるようになったのは天和3年(1683)、31歳のときに京・宇治座で初演された『世継曾我』という作品によってだった。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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