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銀行も脚本も信用が大事「あさが来た」102話

2016年2月1日 09時50分

ライター情報:木俣冬

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朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)1月30日(土)放送。第17週「最後のご奉公」第102話より。原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
イラスト/小西りえこ

102話はこんな話


明治21年、加野銀行開業。あさ(波瑠)は気合いを入れて洋装にイメチェン。
3年後には、銀行は大阪で10本の指に入るほどに成長する。
新次郎も次第に大阪財界の顔となっていく。

「歩く」をうまく使う


洋服だと大股で歩くのも楽々。
新次郎「わても歩こう」
あさ「へ、歩きましょ」
という会話のあと、颯爽と新しい挑戦に向かって歩いていくあさ。
その姿に感嘆の声をあげた雁助(山内圭哉)は、
「お母さんの働いてはる姿よく見ときなはれや」と千代(鈴木梨央)に言い残して去る。働く姿とは、あさの歩みである。「働いてはる」じゃなくて「歩いてはる姿」でもよかった気がしないでもないが、それはともかく、雁助もまた、新しい場所へと歩いていく。まるで、舞台の花道を去っていくみたいだった。
それから、「わても歩こう」と言った新次郎も、商売の道を着実に歩いていることが語られる。
こんなふうに、脚本の筆運びがじつになめらか。
16週の五代の死と同じく、金曜日に大きな盛り上がりをもってきて、土曜日は穏やかなエピローグ、そして、新キャラ(成澤泉/瀬戸康史)なども登場し、新しいターンへと移っていく。
3年が経過して、銀行をはじめ商売は順調だが、だいぶ成長した千代(小芝風花)との仲がうまくいってないところで、玉木宏が思い切った変顔を! 玉木宏もノリに乗っている感じ。

うまいといえば、脇役のキャラ立て。
「へぇ」ばかり言うへぇさん(辻本茂雄)が目下注目されているが、「ほんにほんに」しか言わないのは、かの(楠見薫)だ。
なかなか見せ場のない奉公人たちに、口癖の特徴を与えることで、印象に残る気配り。味気ない説明台詞の係にさせられるより、巧い俳優なら、「へぇ」や「ほんにほんに」で充分、面白く見せることができる。俳優を信頼し、大事にしている脚本だ。

さて、雁助が去り、残ったうめを見ていたら、主題歌「365日の紙飛行機」を、うめのための歌に替えたくなった。

「ずっと見てるうめ(夢)は
私がもうひとりいて
やりたいこと好きなように
自由にできるうめ(夢)」
(木俣冬)

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ライター情報

木俣冬

著書『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、『ケイゾク、SPEC、カイドク』、ノベライズ『リッチマン、プアウーマン』『デート~恋とはどんなものかしら~』

URL:Twitter:@kamitonami

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