
2012年05月24日 掲載
Excite:新曲「僕と花」は、ドラマ『37歳で医者になった僕 ~研修医純情物語~』の主題歌に起用されていますが、オファーが来た時、どんなふうに感じました?
山口:この先、バンドがもっと大きくなるためにはどうしたらいいかということを考えていた時だったので、すごくいいチャンスをもらったなって。今までも論理的に音楽を作ってきたんですけど、それとは別の目線も必要だったんですよ。ドラマのなかでは楽曲がショートカットされるし、歌詞に関しても、ドラマを引き立てる役割を求められる。もちろん、自分たちらしさも表現しなくちゃいけないし、バンドの戦略も考えなくちゃいけないっていう。
Excite:ドラマの制作サイドからも、何かリクエストがあったんですか?
山口:37歳で医者になるっていう話だから、“いつでもやり直せる”っていう前向きな曲にしてほしいっていうことですね。バンドの側から言うと、バランスも大事だと思っていました。テレビドラマって、いちばんいろんな人が通るじゃないですか。サカナクションを知っている人はもちろん、名前だけは知ってるという人にも「こういう感じのバンドなんだ」って認識してもらって、全然僕らのことを知らない人にも「誰? この男性ボーカリスト」くらいに気にしてもらえる。そのラインはかなり模索しましたね。もちろん、自分たちの衝動やエモーションも入れたし。
Excite:歌詞のやりとりもかなりあったみたいですね。
山口:最初に書いた歌詞がちょっと暗すぎたんですよね(笑)。そこから何回か書き直して……。最終的に決まった歌詞は、ドラマの“その後”をイメージしているんですよ。たぶん、ドラマが進むにつれて、ちょっとずつ歌詞の意味もわかってもらえると思うんだけど。
Excite:毎回ドラマを観ている人のことも意識している、と。楽曲自体も、ジワジワと良さが伝わってくる感じじゃないですか?
山口:そうかも。今までのシングルは“ここがサビ!”っていう感じだったんだけど、今回はそこまで派手ではないので。あと、懐かしさも意識しましたね。何回も聴いていくなかで刷り込まれていくような曲にしかったので。ただ、トラックだけで聴くとめちゃくちゃマニアックなんですよ。
Excite:うん、音の位相もおもしろいし、音色もすごく計算されていて、いろんな視点から楽しめる曲だと思います。リスナーの趣味とかシチュエーションとか、いろんな角度から考えていますよね、ホントに。
山口:自分たちが作ったモノをどうやって届けるか?って考えるのが楽しいところなので。もちろん、受け取った人がどう感じるか?っていうのもイメージするし……。でも、それはどんな職業でも同じだと思うんですよ。たとえば料理を作る人、それを提供する人もそうだし。ただ、ミュージシャンの場合はなぜか崇高なことをしているように思われているんですよね。そんなことは全然なくて、日常で感じていることを音楽にしているだけなんですけど。