アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| コニチワ! New POLYSICS!!! ~マッハ AX ギュンギュンギュン!!!~ | 2011.3.4(FRI) at SHIBUYA-AX |
昨春のカヨの“卒業”から早くも一年が経とうという3月4日――それは奇しくも14年前にハヤシヒロユキが“ポリシックス”として初めて新宿JAMのステージに立った、いわば“結成記念日”でもある。このメモリアルな日に、最新作『Oh! No! It's Heavy Polysick!!!』を引っ提げ、ポリシックスは“3人での新しいスタート”を高らかに宣言した。ライヴ・タイトルはその名もズバリ【コニチワ! New POLYSICS!!!】。
「How are you?」でスタートしたライヴは、まさに“疾風怒涛(しっぷうどとう)”と形容するのがぴったりな、ジェットコースター体験にも似ていた。矢継ぎ早に演奏されるハードでスピーディーな曲群、ぐっとエッジを増したハヤシのギターはガツンとロック。 「Boil」で聴けるヤノのスネア連打の抜群のキレにシビれ、「Mach肝心」ではフミの紡ぎ出すベースの大らかなうねりに陶然となり――なんだろう、この鮮烈なインパクトと、ベテランらしい安定感が両立してる感じ!! 各々のキャラと技量が拮抗して、とてつもないテンションを生み出してはいるものの、3人の間に“当意即妙(とういそくみょう)のアンサンブル”と言うにはまだ早い、スリリングな音の駆け引きがあるのが素晴らしい。
中盤「Go to a Strange City」では、ハヤシがギターを置いて腕にポータブルのキーボードを装着(無理矢理つけられた、というキカイダーみたいなテイだったけど(笑))、「ギターなしでもポリシックスっぽい曲が作れるんじゃないかな、と思って」と言ってポリの新側面をアピールしたかと思えば、「スリーオースリーオーマーン」では、なんとフミがヤノとのツイン・ドラムを披露! 彼女の達者なスティックさばきは、ポリのライヴをかれこれ50回以上も見ている私にとっても、めちゃくちゃ意外で新鮮な光景だった。
新作からは冒頭のSE「Heavy POLYSICK」も含めて8曲が披露されたが、中でもうねるベースが聴きどころ「Don't Cry」は出色。フミの繰り出す厚いグルーヴに、みぞおちの辺りがブルブル震える。この音圧にハッとする感覚、ビートになぶられる快感こそが“生”の醍醐味だが、3人の放出するエネルギーが無尽蔵にほとばしるポリシックスのライヴには、それをひときわ強力に感じる。
ふと客席に目をやれば、前方にはおそろしく巨大なモッシュの渦が生まれ、猛者達がぶつかりあいながら回っている。みんな3人の生み出す刺激的なサウンドに、いてもたってもいられない、身体が勝手に動いてしまう、という感じ。そしてそんなオーディエンスの放つ歓喜の波動が、また3人の糧となるわけで――そう考えるとライヴって、つくづく演者とオーディエンスの“気”のぶつけ合いなんだなぁ。そして、その相乗効果を身体で感じた時、この場にいられたことを心から幸せに思うのだ。ヒカシューのカヴァー、「Pike」で久々に見たハヤシのアヴァンなトランペット・ソロも良かったし、「シーラカンス イズ アンドロイド」「URGE ON!!」「Shout Aloud!」という疾走感抜群の、畳みかけるようなメドレーも最高。
アンコール1曲目では、アルバムでファン120名をコーラスに起用して話題になった 「Let's ダバダバ」を、AXのオーディエンスと共に再現。アンセミックなコーラス部をみんなで歌うことで、会場はハンパない一体感に包まれた。ハッピーなバイブ溢れる「Electric Surfin' Go Go」をラスト・ナンバーに一旦引っ込んだ彼らだが、この日は2回目のアンコールも敢行というサービスぶり。本邦初披露となる「Smile to Me」と、オーラスに、これがなくちゃあライヴが締まらないナンバー「BUGGIE TECHINICA」で完全燃焼、オーディエンスを完膚なきまでにノックアウトしたのだった。
そんなこんなで、ここもハイライト、あそこもハイライト、という具合に、もはや“ハイライト”の意味さえ見失ってしまいそうな、全編見どころ満載の濃密なショウだった。
曲の訴求力はもちろん、個々人の卓越した演奏力と息の合ったアンサンブル、気合、プレゼン方法、オーディエンスの乗せ方等々――あらゆる面において彼らがこれまで積み上げてきたものの貴さと、未来への“おもしろき予感”を同時に感じさせる素晴らしいライヴだった。
(取材・文/美馬亜貴子)