アリーナツアー、幕張メッセ公演の模様をお届け!
| BUMP OF CHICKEN 2011-12 TOUR「GOOD GLIDER TOUR」 | 2011.12.05(MON) at SHIBUYA-AX |
BUMP OF CHICKEN待望の全国ツアー【BUMP OF CHICKEN 2011-12 TOUR「GOOD GLIDER TOUR」】が、12月5日、東京・SHIBUYA-AXで初日を迎えた。今回のツアーは2008年に行われた【BUMP OF CHICKEN 2008 TOUR「ホームシップ衛星」】以来、約3年半ぶり。ライヴ自体も、昨年4月にシングル『HAPPY』、『魔法の料理 ~君から君へ~』を2週連続でリリースした際に六本木ヒルズアリーナで行われた【BUMP OF CHICKEN SECRET】はあったものの、本格的なものは約3年半ぶりとなる。解散も活動休止もしていないバンドがこんなにも長い間ライヴをやらずに過ごすなんて…正直、「どうなってしまっているんだろう?」と思わずにいられなかった。ただ、その間に発表された新曲はいずれも素晴らしく、確実に年月と共に進化を遂げている。だからこそ、よりこの日を迎えるまで、彼らの変化をどんなふうに受け止めたら良いのか、そして、その後の彼らに自分がどんな想いを抱くのか、不安と期待が入り混じるなんともいえない日々を過ごしていた。
チケットは発売されるやいなや全てソールド・アウト。ツアー・グッズも開演前に完売してしまうという異例の状況からも、この日を待ち望んでいたファンの熱い想いは明らかだった。会場に入ると、その大きな期待感がぎっしりとフロアを埋めた観客から伝わってくる。そして、ついにその時が来た。BUMP OF CHICKENの4人――升、増川、直井、藤原が順にステージに現れ、藤原が高らかにギターを掲げると、3年半ぶりの彼らの生音が放たれた。この間に発表された曲数からも予想がつくように、ライヴでは初めて聴く曲ばかりが顔をそろえていた。前半は、ステージ上のメンバーも、そしてそれを受け止める観客も、緊張していたように思う。3年半の想いをその一音一音に込めて伝えようとするメンバー、そして、それを一音足りとも逃すまいと必死に聴き入る観客。緊迫した空気だが嫌な感じではなく、冬の晴れた日の朝のような、背筋がすっと通っていろんな感覚が研ぎ澄まされたときのような緊張感だった。1曲目に「三ツ星カルテット」を披露し観衆をどっと沸かせ、数曲を演奏したところで、この日初めて、藤原から「ありがとう」という歌以外の声が発せられると、客席から歓声があがる。普通のことだが、全てが驚きを伴ってしまうのが3年半の重みか(笑)。しかし、その辺りから徐々に緊張も緩みはじめ、ステージ、観客が一体となったグルーヴが生まれてくる。一筋縄ではいかないさまざまなリズムパターンが要求されるドラミングを巧みにこなす升、歌をなぞるように支えるベースを奏でながら、ステージ上では一際熱く、アグレッシブに動き、ときに観客をあおる直井、アルペジオからカッティングまで曲によってさまざまな音色をつむぐ増川のギター、そして、唯一無二であり、圧倒的な存在感を持つ藤原の声。3年半の月日が過ぎようが、以前と変わることないBUMP OF CHICKENのライヴスタイルがそこにはあった。また2012年1月にリリースが決定している新曲「グッドラック」(映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」主題歌)も披露。バリエーションのある楽曲を、とにかく4人で見せきるところは、実にバンドらしいし、それぞれの楽器とアンプとマイク以外見当たらないシンプルなステージも、すごくバンドっぽい。「この4人でBUMP OF CHICKENなんだ」と当たり前のことを改めて思ってしまった。MCでは、「ありがとう」「うれしい」を繰り返すメンバーたち。藤原はこの日、期待のせいか朝5時半に目が覚めてしまったという。「何かしゃべりたいけど、何も浮かばない」と何度か言っていたが、その想いは歌を通じて、観客に伝わっていたはずだ。だって、フロアには笑顔以外は無かったから。
アンコールでは、増川がこれからスタートする半年以上に渡るツアーのスタートに相応しく「いってきます!」と大きな声で観客に宣言するも、すぐに藤原から「明日もそこにいるじゃん」(2days公演のため)と突っ込まれていた(笑)。が、そんなやりとりも含め、これから彼らが全国各地で鳴らす音が、待ち望んだファンたちにどんな想いを届けることになるのか待っていたとき以上に、大きな期待が高まる初日となった。
3年半のブランクという重みを感じて臨んだライヴだったが、BUMP OF CHICKENはこの3年半の変化を含めて、変わっていなかったのだと感じた。というより、デビュー以来、いやきっと彼らが音楽を始めてから、変わっていないのだと改めて思い知った。目まぐるしく周囲の状況が変わっていく中で、変わらない想いを伝えること。それはある意味、変わることより難しいと思う。例えていうなら、ほっておいたら錆びていってしまう金の指輪を、買ったときと同じように輝かせるために磨き続けているような。そのデザインが一番いいと信じて、新しいデザインのものが現れても、それを磨き続ける。そんな簡単には見えないとてつもない積み重ねの輝きを、この日のライヴを観て感じた。BUMP OF CHICKENの音楽がここに在ることの意味の重みが、実を持って感じられた貴重な時間だった。
(取材・文/瀧本幸恵)